◆後日譚(1/9)
 足元不確かな暗がりを進む。
 
 30センチものさしでも挟んでいたような、あたしと彼の距離。
 
 隔てるものは、なにもない。
 
 ぎこちない不安を駆り立てる葉揺れ。
 
 風がたてる、ざあっとした空気が耳元を切る。
 
 奥へ、奥へと進んでいく。
 
 言葉少なな彼。
 
 誰ひとり見えぬ闇であっても、あたしは繋ぐ手を信じている。
 
 進む足先、木々の隙間から臨む、真っ黒な空。
 
 それに気を取られていたからか、一面開けた世界を望むのは、
 
「着いたぞ」
 
 彼の呼びかけによってであった。
 
 待ち望んでいた景色に、あたしは息を忘れる。


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