◆11(1/6)
時間をかけてほぐしてくれているのがよく分かった。
触れる手がこんなにも優しいなんて、あたしは知らなかった。
脳髄がやわらかく染まる感覚。
視界が、滲んでいく。
初めて触れる粘膜。もっと深く、欲している。
瞼をそっとなぞられるから、あたしは自分が目を閉じていたことに気がついた。
切なげな色を宿して揺れる瞳に、大丈夫、と囁く。
全身が、彼という存在を求めている。
確かめるように、時が満ちるのを待つように、あたしを開いて行く彼の全て。
ぽたり、ぽたり、と雫が頬に降りかかる。
混ざり来る彼の匂い。触れる広い背中。感じる、自分のとは違う質感。
あたしの上で彼が動く度に、からだの中を電流が走る。
「香枝。……香枝」
絡ませる指、力のこもる手、見つめる色。
求められていることに、また新しい感情が生まれゆく。