◇6(1/4)
 仕事の飲み込みは速かった。
 
 あたしよりよっぽど使える人材。重いものも楽々持てる。
 
 三ヶ月で、追い越されたと実感した。
 
「重山さん。俺、持つから会計お願い」
 
 こっそり言われるから、トレンチを預けてレジに回る。
 
 胸中複雑。
 
 一人だけ赤いエプロンが場違いかとまで思う。
 
 もう一人の紅一点は、
 
「あっらぁ、野間くん」
 
 経営に無頓着なマダム。彼がトイレから出てきたところに鉢合わせたようだが、知る限りは二度目の対面。
 
 あたしは傍で食器を片していた。水曜の夜は、比較的暇。
 
「どう、バイトには慣れたぁ?」
 
「はい、すっかり。皆さんよくして下さいます」
 
 ジョッキ落っことしそうになった。


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