「みょうじさん」



特に何するわけなく海を眺める。いや、自分の甘さにいい加減嫌気がさしかけていて、というのが正しいのかもしれない。そんな中ただ海を眺めていると私の知る彼と同じ声をした彼が私の名を呼ぶ。


「何か用かな、狛枝くん」



振り返るとニコニコと笑顔を浮かべる狛枝くん。超高校級の幸運、なんだけど実は超高校級の超高校級オタクなんじゃないかと思ってしまうほど、超高校級の名をつく人間が大好きで心酔している。



「何をしているのかなと思ってね」
「まぁ、ただ海を見ているだけだよ」



人が死んでも特に悲観する様子はない。元々変わっている人物だけど『ここ』でもそれは変わらないようだ。正直扱いづらくて苦手の部類に入るけど『ここ』にいる間はそれも我慢しなくてはならない。



「そういう君こそどうしてここに?」



聞く意味はない、が社交辞令に聞いてみる。どんな突拍子もない答えが返ってくるの少し興味はあった。



「みょうじさんがいるかなって思って」


にっこりと笑いながら私の横に着く。いつもの胡散臭い笑みはない。彼にもこういう表情ができてのかと内心驚く。彼の希望ヶ峰学園の頃からの資料は見ている。例の事件も込みで。私が普通に学園生活送っている中でもこんな彼を見たことはない。



「僕はね、みょうじさんなら僕たちを助けてくれるって思ってるんだ」
「私が…?」



狛枝くんは何を言っているのだろう。僕たちを、と言うのはこの再び起こったコロシアイの事なのかそれとも…。聞きたいけどそこに踏み込んでいいのかわからない。



「みょうじさんはね、きっと僕らを救ってくれる希望なんだよ」



いつもの超高校級の生徒を見る怖いくらいキラキラした目はない。そのせいか彼の意図が見えない。


「買いかぶりすぎだよ」



超高校級の参謀と言えども今回に関してはどう対処すべきかまだ考えがまとまらない。もう彼女は死んで何も起こらないと高を括っていたからだ。



「僕の幸運はきっとみょうじさんにもたらすよ」



そう言って彼は私の手を取って甲に唇を落とす。この幸運は私に何をもたらすのか、それは後のお楽しみだ。
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