「あ、あなたは…?」



当然と言えば当然な反応。それもそうだろう。見知らぬ人間が自分の部屋に入れば。しかもコロシアイ学園生活の中に今までいなかった人間がいれば警戒するのは当たり前。



「ああ、自己紹介が遅れたね。私は超高校級の参謀のみょうじなまえだよ。言うならばただの傍観者だよ」
「ぼ、傍観者…?なんで、そんな人がいるんだ!?それに…」



何か言いたげに見る。警戒心が増している。あんな事があった翌日に見知らぬ人間が目の前に現れれば当たり前。



「そうだね。キミに聞きたい事があるんだ、最原終一くん。真相を暴いた結果、信頼していた人物が犯人でオシオキされ殺された気分を、ね」



私の質問に驚愕する最原くん。そう。昨日、二人の人間が死んだ。そのうち一人が一緒に黒幕を暴き出そうと戦っていた女の子。



「あんたに!あんたに…なんでそんな事を答えなきゃならない!」
「これからキミが進んでいく過程で必要だからだよ」



キミは戦わなければならない。ここから出たいのであれば。それが、キミたちにとって希望か絶望かは私にはわからない。でも、今のキミには必要なんだ。淡々とした口調で語る私に彼は落ち着きを取り戻す。



「キミは一度は絶望しかけた。でも彼女の意思を引き継ぎ進む事を決めた。それでもこれからも心が折れそうになる事もあるかもしれない」



だから、知りたいんだ。と、真っ直ぐ最原くんを見つめて問う。彼がこれから進むべ道は茨の道。



「僕は…真相が知れるに連れて犯人がわかって…辛かった。でも彼女と思いは痛いほどわかったから、だから…恐れるのをやめた。まだ辛くて怖いけど、進むって決めたんだ!」



辿々しくて、安心感はない。でもその幼さが残るようなその思いが大事だ。身も心も折れたっていい。また立ち上がれればそれでいい。



「キミならきっと大丈夫だね。私の友人にとても似ている」



少し違うけど。でも踏み出す勇気を持った。少し前向きになったのなら、それを見失わなければ大丈夫。


「みょうじ、さん?」
「うん。満足だよ。これからのキミの希望に期待しているよ」



彼の左肩に手を置き、そのまま左の頬に唇で触れる。緊張してたのか少々冷たかった。が、一呼吸を置いたのち彼はみるみる真っ赤になる。最原くんが何か言っていたけどそれが耳に届く前に、私はこの世界の扉を閉じた。

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