急に寒くなり、辺りには風で飛ばされた落ち葉が建物の隅に集まっていた。
帝人はそんな冬空の下、よく立ち寄る公園のベンチに座って空を見上げ何をするでもなく、ただボーッとしていた。
(雪……降るかな…)
いつもより雲の厚い空を見てそう思っていると、横から温かい何がが当てられた。目線を横にずらすとよく見慣れた格好をした人が両手に缶を持って立っていた。
「…臨也さん」
「やぁ、帝人君。今日は寒いのにこんな所にいると風邪引くよ?」
ニコリと笑った臨也は片方の缶を帝人に渡し、座っているベンチへと腰を下ろした。渡された缶を開けるとミルクティーで、一口飲むと冷えきっていた体に染み渡るのを感じた。
「こんな所に会うとはおもいませんでした」
「ん?まぁ、ね。今日は仕事があったからさ。帝人君こそ時間が有り余って仕方がないサラリーマンみたいな事してどうしたの?」
「サ……、ただ空見てただけじゃないですか。雪降りそうだなぁって……」
あぁ、確かに…と臨也さんは空に目線をあげて納得し、また目線を戻して手元にある缶コーヒーに口をつける。
「もう、そんな時期か…。過ぎてしまった時間は、思い返すと短く感じるよ」
「……くすっ」
「何笑ってんのさ」
「ぁ、すみません。なんか臨也さんがそういう事を言うのって珍しいなぁって思って…」
「そう?」
「えぇ、珍しい事もあるんですね」
クスクスと笑う帝人に、最初は不機嫌だった臨也も帝人の笑いにつられてクスリと笑った。
「――帝人君」
「え?」
臨也に呼ばれ、振り向くと唇に柔らかい何かが触れる。遅れてそれがキスだと分かる。缶珈琲のせいで、お互いの唇は熱い。
ビックリして固まってる帝人を面白そうに、キスの後に続いて唇に軽く噛み付いた。
「っ!!?」
さすがの帝人もその行動には反応して、思わず息を止める。
臨也は最後にペロッと唇を舐めて離れた。
「なっ!!?何をし、てっ!」
帝人が突然の事にあたふたしていると、臨也は困ったように言う。
「………無意識のうちに君が好きだったみたいだ」
寒い雪空の下。
寒い筈なのに、触れられた唇はいつまでも熱を持っていた。
END.
無意識のゼロセンチ
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企画:帝人絶対幸福論
素敵企画に参加させていただき、ありがとうございました!
文才がなくて、色々欠けているような気がしますが…。
帝人の幸せを願っていますvV
H22.11.14 蓮