join | ナノ

ここは全寮制の男子校。
金持ちの子息ばかりが通うこの学校は、次世代の有力者育成を掲げている。

小さい頃からこの学園にいて、多くのことを学んだ。
一番最初に学んだのは、自分への周りの態度だった。俺に対する周りの態度は、大きく分けて三つ。
媚びへつらうことで俺のご機嫌を取る人間と、金も権力も容姿もいい俺に嫉妬して影で罵声を浴びせる人間。そして、俺と対等であろうとする人間だ。

それは高校生となった今でも変わることはなく続いている。
しかし年を重ねるごとに、俺への罵声はほぼ無くなった。それというのも家柄の影響なのか、はたまた俺が手に入れた《会長》という立場からなのか。
全寮制の男子校ということからか、この学園には同性愛者が多く、中でも容姿や家柄がいい俺のような男は崇拝対象として崇められる。
そして生徒会は人気投票で選ばれる。抱きたい抱かれたいだなんて明け透けな言葉こそ使わないが、人気投票という言葉の蓋を開けてみればほとんどが性欲の対象だけで選ばれているのだ。

崇められちやほやとされるのは悪い気はしない。むしろ、とてもいい気分だと声を大にして言える。

しかし。しかし、だ。

「可愛いな」

にやにやと汚れた欲望で俺を見るのだけは、解せない。

「うっせえ黙れ。頭湧いてんじゃねえの」
「ツンデレでも目指してんの?」
「本心だってのバカ」

無駄にチャラチャラとしたこいつは、生徒会顧問。よくこんなんで教師になれたなと常々思う。が、こいつの勉強の教え方は上手い。それがまたムカつくところだが。

「つーか、可愛いなんてガラじゃねえ」
「そうか?気高く振舞ってるくせに案外寂しがりやなとことか、俺様くせに人一倍人の目を気にしてるとことか、すげえ可愛いけど」
「っ、バカじゃねえの!?寂しがりやでもねえし、人の目なんて気にしてねえよ!」

思わず立ち上がれば、にやりと笑む奴に顔を顰めた。

「そうやってムキになるとこも可愛い」
「〜っ」

どさりと音を起てて椅子に座る。こいつといると調子が狂う。
二人きりの生徒会室。他の役員はそれぞれ会議や部活でいない。こうして俺が生徒会室に一人になるときだけ、こいつは現れる。
お前が寂しくないように、なんて抜かすこいつは、いつも俺をからかっては楽しんでる。

「つーか、仕事しろよな」
「してるだろ、お前が寂しくないように」
「…仕事だから、俺に構うのかよ」

何を言ってるんだ俺は。奴は目を見開いて驚いたような顔をした後、やっぱり可愛いなと笑うのだ。

「お前以外に可愛いなんて言われたことねえよバァカ」
「お前の可愛いところは、俺だけが知ってればいいんだよ」

くしゃりと頭を撫でられる。赤くなった顔を隠すように俯いて書類に目を走らせた。

ーーーーーーーー

「首まで真っ赤。やっぱ可愛いよお前は」
「うっせぇ殺すぞ!!」
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -