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リンは自分のシャツを脱ぎ捨ててからエドワードに身体を寄せた。肌と肌が直に触れ合うのが気持ち良い。エドワードがぶるりとふるえた後、深呼吸を繰り返すのを肌で感じる。ゆっくりとリンの背中に回された指もちいさく震えていることを感じてたまらなくなって首筋に噛み付いた。
「ぁん…!」
びくんと大きく身体が揺れて耐えるように背中の指に力が入ったのが余計にリンを興奮させた。吸い尽くような唇のまま首筋から顎のラインへと移動する。
「んっ、んっ…!」
逆側の首筋に渡り、今度は鎖骨に向けて肌を吸った。リンの身体と壁に阻まれた足が両膝を擦るように悶えている。
エドワードの沿った背中と壁の間に腕を潜らせ、寄りかかるようにしてやってから下着のホックを外した。
「あっ……!」
驚いた声を上げて戸惑った顔でエドワードがリンを見た。
「…いヤ……?」
答えのわかっている問いを掛ければエドワードは眉を下げて困った顔になったのだが、リンにはそれが見えなかった。リンがその顔を見る前に首にしがみつかれたからだ。
「あんま…見んなよ」
期待には応えられねーぞと悪態を吐くのが可愛くてしょうがない。
「うン…全部見せテ…」
きっと可愛い恋人は心の中で「見んなっつってんだろ!」とツッコミを入れたのだろうがそれが声になる前に下着の肩紐とそれから腕に絡んでいたシャツとカーディガンをまとめて脱がせた。
「ふぁ、あ、あぁっ、んっ…!」
それまでのエドワードも感じているように見えていたが、胸が特に感じやすいらしい身体は乱れ始めた。エドワードも戸惑っている様子から彼女自身ですら知らなかった秘密を暴いたのだと別の喜びもわく。
だからさっき無理矢理胸を触った時に激しく抵抗されたのかと声に出さない声で詫びつつ、許されたことがまた嬉しい。
「はぁ、ぁ、ん…」
深いキスで舌を絡めながら、殊更やさしくやわらかな感触を堪能する。乳房を玩んでいるだけなのに時折不規則に身体が跳ねるのも楽しい。
「んっ…、んふ…!」
瑞々しい触り心地を十分指で味わってからキスの合間にエドワードがとろけた顔になっているのを確認して、そうっと手の位置をずらした。
「きゃっ、あっ…!」
びくんと大きく背を跳ねさせて目を見開いたエドワードは、またきつく目をつぶった。
「あっ、ぁっ、ん、やっ…!」
ピンク色だった胸の頂に指と舌とで触れるとそこは熟れた色に変わりぷっくりと主張を始めた。
「あっ…ん、そこっ…は…っ!」
「ン…?こコ?」
「ぁあんっ…!」
ぐりっと押しつぶすように刺激すれば高い声が上がったので、詫びるように今度はねっとりと舌を絡ませる。
「きゃぁん…っ」
すると今度は子犬のような声を上げた。
「あっ、あ…っん…!」
続けて同じ所ばかり責めてやれば、揃えた膝は横たわりがくがくと震えるばかりだ。
さらに摘むようにこすり、唾液を絡ませるように吸い付いて嬲ってやればちいさな身体はリンの腕の中で遂に負けを認めた。
「あっ、やっ、ん、も…っ!や…!」
あまりに反応を返す身体が面白く、夢中になってしまった。エドワードの声に我に返り、慌てて顔を見上げて様子を伺うと荒い息を吐きながら閉じた睫毛にはうっすらと涙が見える。
感情的なものか生理的なものかは知れないが少しやり過ぎたと反省した。
まだ、これからなのに。
不穏な思いを感じさせず、むしろ思い遣りを見せるようにリンはもう壁にもたれるのすら危ういほど脱力した身体をシーツに横たえた。
もちろん下心あっての行為はエドワードのスカートを脱がせることを忘れはしない。
リンが覆い被さってももう怖がられはしなかった。受け入れてもらったというよりも意識が朦朧としているといった様子だが、今はそれでも、いい。
エドワードはリンとの距離を縮めようと努力してくれていたと言っていた。これから何度も身体を重ねて、だんだんとリンの身体に馴染んでくれればそれが、いい。
*
シーツに横たえられてほっとした。綿の布の肌触りは気持ちが良いが日中に温められた熱が籠っている様だった。しかし上から触れてきた物の方がよっぽど熱かった。
「あ……っん…」
それがリンだ、と認識するのに時間がかかっている間にも熱い指はエドワードの身体をなぞり、唇で辿ってゆく。まるで、エドワードの身体すべてに触れるように。
「ふ……あぁっ!」
びくりと大きく身体が震えたのが自分でもわかった。リンの指が、エドワードのまだ誰にも触れさせたことの無い奥まった場所を、掠めたのだ。そのままリンは指を揃えてエドワードの太股の隙間に潜り込ませてきて、ついに手のひら全体で内腿の柔らかい部分を撫でる。
「あっ、はぁ、んっ…、リ、ン…!」
内股の敏感な部分を撫でられるだけで恥ずかしいのに、上下に動くリンの指の関節がたまにエドワードの一番感じる所に触れてしまいそのたびに身体がびくびくと揺れては高い声が出てしまう。
いやだ、そこは、それ以上は、だめ…!そう思っていても自分の口からはさっきから高い短い声か息を吐くような音しか出ない。何度目かに大きく身体が震えた時、堅く閉じていた膝がほどけて、男の指は容赦なくエドワードの秘所をなぞった。
「あ、あぁあんっ…!…ぃやぁ……っ」
「…エド……」
「や……っ」
「濡れてル…」
「ばか…っ」
それを知られるのが恥ずかしくて触られたくなかったのに。両手で顔を隠しながら肩で大きく息をする。今なら羞恥で死ねそうだった。そう言うとリンが「まだ駄目、俺が天国を見せてあげル…」とか意味のわからないことを呟いたがそんな言動よりもリンの行動はさらに追い打ちを掛けた。
「汚れないようニ、脱ごうカ……」
やだ、ばか、やめろ、やだ……っ。そう思ったのに驚くほど身体に力は入らずリンに軽々と腰を持ち上げられて、下着はくるくると足を通されてするんといとも簡単につま先から抜かれてしまった。
「う……っ」
「ブラとショーツ、水色のお揃いで可愛いネ、後でちゃんト、見せてネ…」
見せねーよ!!!!あほか!!!!!エドワードが罵倒の言葉を吐く前にリンが卑猥な言葉を続ける。
「でも今ハ、こノ、中身が見たいナ……」
獣のように荒い息を吐く男は獣の本能の如く止まることを知らないようで、容赦がなかった。
(続)
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