文.創作 | ナノ




(サリエル)


ここに立たされるのは何時ぶりか、いや初めてだったか。どちらにせよ結果は既に決まっている、なのに何故発言を求めるのかわからない。
見せしめのつもりか、とんだ笑い話だ。

「わたしからはなにも、ありません」

なにも、そうなにもない。悔いるようなことなど、ましてや聞かせることなど、なにもない。
忌み嫌われていたわたしは恰好の獲物であろう?

「そうか、では」

ああ、どうか罰せられるのはわたしだけでありますように。






皆等しく愛せよ
(愛されることを知ったわたしは何人にも裁けはしない)