文.創作 | ナノ




(創造主+水の神)


「もう止めにしなよ」

一定の液体の量があればどこにでも現れることの出来る彼は、半身だけ水に浸かったまま投げかける。
そんなこと、可能ならば既にやっている。
知ってか知らずか溜め息をつくと不機嫌そうに眉をひそめた。
「君は変なところで頑固だ」
「そんなの随分と昔からでしょ?」
笑いかければ更に眉間の皺を深く刻み、顔を背けてしまった。なんだよ一緒じゃないか。
「君だって変わらないよ」
「…」
「そう思ってくれるだけで嬉しい」
「っなら、」
言葉を濁して口ごもる。
「わかってる、いつかは決断しなきゃいけない」
視界には映らない景色をゆっくりと見渡す。君は優しいから、殺してまで止めるなんて出来ない優しい子だから。
「ありがとう」
「…、…僕は子供だなんて思ってない」
その言葉を最後に水の中へ消えてしまった。