文.創作 | ナノ




(サタン+ルシファー)


暫く食事をしていない、ふと思った。食事と言っても人間のように食物を摂取するものとは違う。我々は生きとし生けるものの正気を吸って糧とする。まあ、中には物好きな奴もいるけどね。
天使なんかは食べなくてもいいらしい。(だから変な物が混ざらず美味しいのだろうと思った)あれに聞いた話じゃ神さまがいる限り死にもしないし空腹もないという。僕はそれじゃ楽しくないと思うけどね、ああ、だからあれは堕天したのか。気質は根っからこっち寄りってことだ。
なんとも面白い結論だ。自然と湧き出る 笑いが抑えられない。
「飽きないねあれは」
だから契約したのだ。我ながらいい判断だった。

「どうしたんだ、1人で楽しそうだな」
噂をすれば、カツカツと床を鳴らしながらこちらへ近付いて来る。
「あれー?もう用事はいいの?」
「ああ、これの回収だけだ」
どさりと目の前に落とされたそれ、まだ若き天使がぐったりと床に寝転んでいる。
「まあ珍しい、いい匂いがすると思ったら」
二枚か、それなりに大きいし色も綺麗だね。
「お前にあげようと思ってね」
食べたそうにしていたのがわかったのか(いや実際バレバレだと思うけど)くすりと笑う。
「プレゼント?そんなの初めてじゃない?」
「そうだったか?」
クスクスと笑いながらいつもの定位置に深く腰掛ける。王たる者が君臨するそこへ。
「どうぞ、召し上がれ」
「有難く、頂きます」


甘美なる哀れな仔羊
(慈悲の手は伸ばされず)


サタンの主食は天使の羽ですもぐもぐ