Bきみがいなくなったあの夏と38度

※上にあるのが新しい



樟葉様
後ろ姿は青に溶けた
あの日の君とどこまでも
しじまに消え入る
唇にうなされる最後
走りだしてしまったのは、きっと
ゆっくりと入水
爪先からこぼれ落ちたら
永遠になる
瞬きの数だけサヨナラを
ボクは恋をした



藍子様
迎えることのできない夜
高気温と低体温のまじない
あぶくになって消える夢
太陽はもう枯れたよ
あの日受け取った熱をもう一度



ルー
幸福の三日坊主
寂しげに色褪せた散歩道
儚い脳みそでよいのです
転げ浮かされ、おろかだった
頬が溶け落ちるんじゃないかと
いたいのとくるしいのはいやだよ
汚い感情はこころの奥で燻ったまま
どぷん、海からの求婚を受けまして
見られないから赤くならずに済むの
頬を走る熱が冷えるまえに会いにきて



白雪さなえ様
ねえ、聞いてるの?……実は聞いてなかったでしょ。もう、また勉強してるの?もうすぐ夏も終わっちゃうよ!たまには出かけない?……えっ?どうしてそんなに元気なのかって?…そう?そう見える?……そっか。うん、なら良かった。…ううん、何もないよ。ね、海とかいいと思うの。…ふふっ、何だかんだいいながら付き合ってくれる貴方が好きよ。
(どうして僕は、あの時気付かなかったんだろう。)
(もし、あの時気付いていたら君は今でも隣にいてくれた?)



日向
体温と気温のコントラスト
春じゃない青春
思い出すほど美しい
波にさらわれた悲しみ
君と僕の知らない夏
夏は来たのに君は来なかった
唇が離れたら秋の始まり



音々
物語のひみつはわたしとキミだけのものだから
いなくなったキミの面影を捜して、彷徨うだけのリビングデッド
八月三十一日の思い出
君が置き去りにしたもの
四十九日後にまた、
「ばいばい、またね。」
夏休みが終わってふとあなたのことが思い浮かんだ。しゅわしゅわと音をたて、喉をくだるラムネのみなわがはじける。いやにつめたく感じられる風が、秋のはじまりを告げていた。



逢坂
プラネット・シーサイド
うだるような空気の中でぼくらは気安くキスをした
この星がどんなに傾こうとも、きみへの愛は変わらないよ
ひかる水に名前をつけた
熱にうなされてぼくは夢を見た
魚が泳ぐように、星がまたたきするように
移ろう心を凝固して宝石にしたら何色になるだろう
うつむく花
その濁りを知らない瞳が、あの温度に包まれたらどうなるだろう
青の終幕



星山
きみの温度は生ぬるかった
暖かな心情に触れてたかったよ
ぼくは使わない口紅が落ちていて
必死に君を忘れたくないと思うようになったぼくが嫌いだ
温もりがまだ残っている右手
堕ちこんだ心さえ拾ってやれなかった
萎んだひまわり畑で君を待つよ



卯多
虹色に融けて海へと流れて行ったいつかの僕ら
抱きしめた心臓を嘲笑う
愛したのは誰だったのだというのです
ひぐらしだって恋しがってる
もうずっとぼくの明日がきませんように
真夏の見せた夢に、あのとき触れた肌の熱に、今もずっと浮かされている
愛してたよ、ジェーン・ドウ



乃衣
たおやかに失せる
ふつつか者たちの愛
僕が僕だったときの話
熱情をも飲み干したきみ
額縁戦争
おおらかだった夏が泣いている



笹倉
白いあぶくに消えたきみへ、憎まれ口というかなしみを
蝉の一生より短い恋
地平線が見えるあの海岸でふれた指の熱を思い出して今日も声が出せない
いつまでも待つという宿題
あの日おぼれる前から決まっていたこと
メカノルミネッセンスのひかりすら手に残らないのにどうしてきみの熱をのこせるだろうか
きっとすべてまぼろし
銀河の星々よりもきみに身近な塵芥がいい



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