佐々木未来の学生時期の妄想をした

夢主 【個性:吸怨】

佐々木未来の同級生
個性は【サソリ】と謳っている。
毒を流し込むというサソリの尾を持つ以外は至って普通の女子生徒。
人の毒気を抜くような、常にニコニコとしている少女。
趣味、人助け。
佐々木未来が高校生の頃に出会った。

「佐々木君、今日からお隣だね!よろしくね」
「こちらこそ」

常に周囲へと気を配り、重い荷物を運んでいる生徒が居れば手を貸し、教師が困っていれば面倒事でも請け負い、委員会も人気がないものを率先して受ける。
登下校時には間に合うようにと気を付けるが、アチラコチラで人助けをしながらやって来るので、往々にして遅刻ギリギリ。

「もう少し早く来たらどうですか」

とサーが言うけれど、「でも皆、嬉しそうにしてくれるから」と、絶対にやめようとしない夢主。

そんな絵に描いたようなヒーロー気質の夢主であったが、サーの落とした消しゴムを夢主が拾ったときに、指先が触れた。

「すまない、ありが……と……う」

まだ訓練もしていない未来予知ではあったので、短時間のものではあったが、夢主の未来が見えた。
街中で、個性を使っている夢主だった。
それも、手の絆創膏やら、髪型からして恐らく、今日起こること、と考えたサーは放課後、夢主の後をつけた。


夢主の入ったコンビニで、立て籠もりが起こった。
サーも商品棚の影に隠れたが、夢主が人質にされ、店員は金を出せと脅されている。
助けなければ、とサーは動こうとしたが、夢主がさも当然、とでも言うように、犯人に尾の毒針を差した。

見る見る犯人は力を抜き、「悪いことをしてしまった」と嘆き始めた。

「してしまったことは仕方がないよ。だから、今からいっぱい良いことをして恩返しをしましょう!この世界に!」

いつもの彼女の調子でそう言った。
男は何度も涙ながらに頷き、自分から警察へと電話をかける。
その後も、虐めの現場を目撃した夢主は、いじめっ子に個性を使い、を抜き取っていく。
いじめっ子は人が変わったように、そこいらのゴミ拾いをし始めた。
そのいじめっ子が翌朝もゴミ拾いを続けているのをサーは登校しながら見ていた。


「昨日、あのコンビニに居たな」
「うん、居たよ」
「個性を、濫りに使うのはいけないことだが?」
「でも、それで穏便に解決できたよね?」

ここ最近、街で「人が変わったように」ということをよく耳にするようになっていた。
明らかにジャンキーに見える男が、ゴミ拾いをしていたり、どう見てもカタギじゃない人間が、スーパーで順番を譲り続け、数時間は待つ姿がある、だとか。

それはもしかして、と、サーは夢主を見た。

「……まさかとは思うが、昨日が初めてでは無いのか」
「まさか。ずっとだよ。コントロール出来るようになってから、ずっとああして人助けをしてるよ」
「それはいけないことだ。今すぐやめた方がいい」

曖昧に笑った夢主は、サーから視線を反らした。

その日の帰り、万引きする夢主をサーは見つけた。
ヒーローとはこんな人だろう、と絵に描いたようなヒーロー像である、と周囲からの期待を持たれていた夢主がまさか。と思ったが、文具店の、一個100円もしない消しゴムを会計もせずにカバンへと仕舞おうとする夢主の腕を掴み、サーは止めた。

そのまま引っ張り、店を出たサーは適当なカラオケボックスに入り、夢主にさっきの行動を問いただした。

「私、個性はサソリって言ってるけど、アレは嘘だよ」

にこ、といつもの笑顔で彼女は続ける。

「吸怨って言って、平たく言えば、人の持つ邪気を吸い取れるの。だから、私が邪気を吸ってあげれば、みーんな悪い心がぜーんぶ消えて、良い人になるんだよ!
みーんな素敵な人になれば、この街はとっても平和になるの。それって凄い社会貢献でしょ?
でも、無尽蔵に吸えるわけじゃなくてね、許容量を超えたら、逆流しちゃうの。」

あのときは悪いことをしたなぁ。と呟く夢主に、サーは唖然とした。
彼女が悪びれる素振りは一切ない。

「だから、その邪気を私がちょっとだけ悪いことをして、発散してあげるの。そうすればまたたくさん吸えるから。
ね?素敵でしょ!だから私はほんの少しだけ悪いことをして、たくさんの良いことをして、みんなを助けるんだよ!これって、ヒーローみたいでしょ!」
「それはチガウ!!」

夢主の腕を引いて言うサーの中に、また、未来が流れる。
夢主が、駅のホームから落ちる未来。

「……!!」

サーはなにも言えなかった。



問題の日、サーはその現場に居た。
駅のホームで夢主に痴漢をしている男を、サーは目撃してしまった。
夢主を助けようとしたが、それより早く、夢主の尾が男に刺さって、男は咄嗟に夢主を突き飛ばそうとする。
サーは尾を男から引き抜き、夢主の体を咄嗟に引き寄せた。
確かに助けられた、と安堵した瞬間、その男にサーは突き飛ばされて、夢主ごと電車に突っ込みかけたが、夢主が尾でサーを振り払った。

サーは一命を取り留めたが、夢主は亡くなってしまった。


それからサーは眼光を鋭くさせて言う。

「未来は、変えられない。決して」



っていう、サーの初恋を妄想してギュンギュンした
ぶあーって書いたから、視点ごちゃごちゃ笑笑
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