高校卒業後以後の妄想

ベスジニの事務所で受付してる夢主

「今日から」

ぶっきらぼうなセリフとともにカウンタへと乗せられた茶封筒を見てから、私は視線を上げた。
事務所の顔である受付だ。
どう見ても歳下の小生意気な少年が相手だからといって、半端な態度はナンバー3の事務所の顔としてのプライドが許さなかった。
とびきりの笑顔で以て、私はその無愛想な少年を迎え入れることにした。

「おはようございます。バクゴーカツキ様。本日は地下のロッカールームでお着替えをなさってから事務所へお越しください。
こちらがバクゴー様のロッカーキーです。管理はご自身でお願いいたしますね」

スッとキーを渡し、「行ってらっしゃいませ」と頭を下げれば、聞こえにくすぎるほどの音量で「あンがと……ゴザイマス」と言いながら小さく、まるで頷いているのと見紛うほどのお辞儀をして去っていく淡いツンツン頭。その背中を私は見送った。


ランチタイムを外に取りに行くことにしたが、今日はどこもかしこも混んでいるから、コンビニで済ます事にした。
ヒーローコスチュームのままコンビニに入ってきたバクゴーに気付き、軽く会釈してテキトーなご飯を引っ掴んでレジに並んでたら、横からフッと何かが伸びてきて捕まえられる。
ヴィラン!と思ったが早いか。体が宙に浮く。
「コイツ殺すぞ!とっとと金を出せ!」
「は、はい!!」
コンビニの店員がアセアセしてる中、じたばたしてたら「大人しくしろ」と犯人に脅される。
どうしよう!ときょろきょろしてたら、バクゴー様と目が合う。
彼は口元に人差し指を立て、静かにしとけとアピールしてる。
私の視線に気が付いたらしい犯人がそっちを向こうとしたので、やば!と思って「あ!あの!!」と咄嗟に声を上げたけど、何を言ったら良いのかわからず、もごもごとして「と、トイレ……お、お手洗いに……!!」とか言うしかなかった。

そんなこんなで助けてくれたバクゴーに安易に惚れるしかない。

そこから毎日、絶対朝誰よりも早く来てバッチリスマイルでバクゴー待ち受けるし、受付の内で溜まっていく雑用は出来る限り受けて事務所内電話しまくるし彷徨きまわるし、昼は絶対バクゴーが出ていくのに100点スマイルで挨拶してから出るようになる。サブリミナル効果バチコリ狙って擦り込みまくるし、
「おはようございます」にバクゴーがミリの会釈する以外に反応返し始めてから、本格的に恋が始まるやつ。

「おはようございます」
「ん」
「今日お早いですね」
「見回り始まったんだわ」
「いつもありがとうございます」

とか

「おはようございます」
「ん」
「今日はお昼持ってこられたんですね」
「昼まで事務所」
「今日はバクゴーさんのお顔がたくさん見られますね」
「……」

ってロックオンしまくる肉食系年上夢主。
このあとあれやこれやと馴れ初めあって恋愛初心者かっちゃんにお付き合いすっ飛ばしてプロポーズされるまで有るのかもしれない。
(かっちゃんはスパダリor恋愛ド初心者ウブウブの両極端と思う。何)
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