学パロ/胸糞

「──私、おかしくって笑ってしまったんです」

そう言ったシワ一つとして見当たらない、学校指定の濃緑のジャケットに袖を通した##name_2####name_1##は静かに笑った。

不死川は隣へと腰を下ろしたまま先程から暫く半分ほどの睫毛を伏せている、同僚であり、同じく教職に就いている伊黒へと視線を送った。
居心地が悪かった。

確かにこの女生徒は不死川実弥の受け持つ二年かぼす組の生徒である。
去年度のクラス替えまで担任であった伊黒も、その責任感からか同席しているが、このには今、その三名しか存在しなかった。

不死川の方へと、ヒビの入ったマグカップを押し出しながら##name_2####name_1##は静かに口角を上げ、クスクスと笑い始める。
何がおかしいのか。
不死川にも伊黒にも、サッパリとわからない。

ただ、今のこの家には、一種異様・・とも言える雰囲気だけが漂っていた。

不死川は自身の膝下で揺れる、浅い緑の茶を見る。

##name_2####name_1##はまた、口を開いた。

「刑事さんたちは、事件性なし、と言うんです。
母が、亡くなったのは事故・・だったんですって」

仏壇とは名ばかりの、部屋の隅にぽつねんとあるカラーボックス。そこに捩じ込まれた遺骨が納められているのであろう化粧箱が二つ。並んでいる。
それを##name_2####name_1##は、静かに眺めながら言う。

垂れてきた横髪を耳へと引っ掛けてやりながら、口元を綻ばせる様は、教室で問題集を開いては頭を悩ませているそこいらの高校生と、何ら違いはない。

だと言うのにここ・・に一歩、足を踏み入れた瞬間から、その劣悪な環境を、不死川と伊黒は一瞬にして理解せざるをえなかった。

伊黒が静かに遺骨の上へと飾られた写真立てへと視線をやった。
仲睦まじく三人で肩を並べた家族の写真であった。
真ん中の子供が幼い頃の##name_2####name_1##であろうことは明白であるが、その両脇に立つ人間に不死川は見覚えがなかった。
伊黒は暫くそうして、ぽつりと言った。

「三者面談のときにお会いしたお前の母親とは、随分違う様相だが──」

##name_2####name_1##はまた、くすくすと笑った。

「なにがおかしい」
「だって、……ふふ、先生ったら」

##name_2####name_1##は口元へと手を当て、ふふふと笑う。

「だってね、あれ・・は母じゃないんですよ。
今どきは、お金を用意さえできれば、なんだって出来ちゃうんです。例えば、母親の代わりに面談に出てもらう、だとか。携帯ショップでの契約。あれの保護者欄だって、年嵩の女性が「母です」とさえ名乗ってサインをすれば、誰も怪しまない上に、何も問題は起きないんだもの。
私一人で、なんだって出来るの。
出来ちゃうんですよ」

伊黒は口を閉ざした。
聞いてはいけなかった、と思っていた事であろう。
そう不死川が思ったのは、自分がそう思ったからであった。

「いつからだァ」

不死川の問いに、##name_2####name_1##は歌でも歌うように「父が死んでから」と答えた。

「それから、誰かに頼ろうとは思わなかったのかィ」

不死川の大きな目に射貫かれながら、##name_2####name_1##はまた、くすくすと笑った。

「役所の人ったら、制服を見た途端にどんな要件でも相手にして下さらなくなるの。
親を連れてきなさい、の一点張りなのよ。
大家さんに事情を説明しても、「それでも家賃が遅れるのなら、出ていってもらう」って、そればっかり。
バイト先の店長は助けてほしいのなら、それなりの・・・・・ものを寄こしてほしいって言うんだから、私、黙るしか無いじゃない。
親の勝手で親戚づきあいもないのだし、仕方がない・・・・・。ですよね?」

そう笑う##name_2####name_1##は、さも当然であるかのようにだからですよ・・・・・・、と言う。





から始まる売春少女と不死川先生の奇妙な関係を書こうとしていた。(書けない)
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