白鳥の王女

窓硝子の向こう側に見る人に、私は恋をしていた。
吐いた息が全部飴玉になるような、甘くて、喉の詰まる、ころころとした宝石のような鮮やかな恋であった。

熱心な目が、私を上から下までなぞるように見ている。
かと思えば、私をすり抜けて奥を見渡し、それから私の置かれている状況を把握するかのように隅々まで目でなぞっていく。
彼のつるンとした白目に浮かぶ淡い菫の瞳が、そろそろと滑っていくさまは、まるでいつかの姉様の花嫁行列の提灯みたいにゆっくりと、けれど確実に進んでいくのだ。

私はその滑らかな様に、思わずほぅ、と息を吐く。
ひんやりとした部屋の中で一際大きな窓へと手をあて、彼の目を見ていた。

彼の目は、私を見るようで見ない。

私を舐めるように眺め、私の全部をみようとでも言うように見つめ続けているというのに、決して私の目は彼と交わることはない。
彼の瞳が、私の目を捉えることの無いのと同じように。

ふ、と傷がたくさんの手が、窓をなでつけた。
なにか、大切なものを扱うように、それこそ、例えば母の乳を吸う赤子が、その胸元へと指先を寄せるように。
それか、乳を吸う赤子が愛おしい、とその頬を撫でる母の指先と同じように。

少しばかり震える彼の指先が、窓の縁を撫でつけていく。
私もそこへ、指先を寄せた。

「……俺も、助けてぇな」





ってのから始まる、お互い本の中の人物同士の不死川玄弥と夢主(王女)っていう、
白鳥の王女 って題名の夢を考えてました!!
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