▽二回目 ニナ




◎世界観

魔法が存在していて、生きとし生けるもの全ての礎となっている世界でのお話。
ノジックと呼ばれる、先天的に魔法の使えない人間も存在する。


時、土、水、火、風、全部で五つの魔力で成り立っている。
それぞれの魔力の源として、五つの泉が各地にあり、その水は枯れることがない。泉の周りには精霊が暮らしている、と言うお伽話が伝わっている。
闇と光の魔法は遥か昔に滅びてしまったらしい。


土の魔法は木々や花々が有している。俗に言うドワーフなどがその力を独占しており、殆どは人間を嫌っている。主に建設的なことや鉱石業などに使われている。

水の魔法は水棲生物が有していることが多い。人間達に協力的で、パートナーを結ぶこともある。水道や天候、農業など様々な用途に使われている。

火の魔法は砂漠の民ザディア、また砂漠の動物達が有している。太陽によく似た惑星、グレンダを火の神だと崇めている者も多い。鍛治職が栄えている。

風の魔法はエルフのみが使える。庶民的で人間に好意的な者もいれば、高圧的で人間に嫌悪感を露わにする者も。前者は風を利用した運送業や宅配業に就いたり、移動用の乗り物を作る者も。後者は里を出ることはなく、一生をそこで過ごす。


時の魔法を使える者は、世界で五人しか居ない。
もっとも使われている延命魔法の他、様々な魔法を使える。禁忌とされている魔法もあるらしい。
スキクーの通う魔法学校の学校長も、時の魔法を使うことができる。


各地に点在している五つの魔法学校には、才能のある人間達が通う。彼ら彼女らには、魔法生物のパートナーが必須。自らの才能でまず魔力を操り、魔法生物を介し、力の源である泉のエネルギーを利用して魔法を使う。

本来は人間が魔力を使うためには生命力を削る必要があるが、生徒たちに関しては、学校長の延命魔法によって寿命が保護されている。


魔法学校には卒業試験がある。
卒業するための一年間で色んな国や街や、いわゆるダンジョンのような場所へ旅をし、世界にある五つの泉を回る。宿や衣服、食べ物など、自らの覚えた魔法だけで賄わなければならない。
試験に関しては一人で行っても、グループを組んでも構わない。


再び学校へ戻ってきた者は、卒業となり、偉大なる魔法使いへの道へと進むことができる。
魔法軍に入る者もいれば、魔法使いとして就職する者、研究者になる者も居て、その未来は様々。大概がエリートと呼ばれる立場にある。





◎お話

スキクーが目を覚ますと、広々とした砂漠地帯にいる。彼女の姿はあまり変わっていない。口にはよく壱川が食べていた飴が咥えられている。


呆然とする彼女を起こし、呼びかけるのは、なんと言葉を喋るフェネック。この世界ではフィオーネと呼ばれている動物らしい。
スキクーは、そのフェネックと幼い頃から一緒で、パートナー関係を結んでいる。
命が尽きる直前、壱川の前で混線した記憶は、自己防衛のせいかまた忘れてしまっていて、前の世界のことしか覚えていない。



パートナーを組んでいる記憶はなかったものの、どうにか話を合わせて誤魔化し、フェネックと魔法の国を旅する。この世界線での彼女は、魔法学校に所属している女子高生。

自分の生い立ちをなんとなく把握したスキクーは、フェネックと魔法の訓練をするようになる。



フェネックの名前はニルヴァーナ。臆病なところもあるけれど、心優しい男の子。
彼は今のところ、赤と緑の火花を散らす、という、周りと比べて幼稚で弱い魔法しか使えない。


パートナーであるスキクーも同じ魔法を使える。ただし人間が魔法を使うには、生まれつきの才能と魔力が必要。魔力は生命力と強い結び付きがあり、使用するときには寿命を削ることになる。なくなった場合、存在が消滅する。

学生達は、学校長の延命魔法によって、魔力を使っても寿命が削られることはない。
彼女はどうだろうか。




いろいろな場所を巡るたびに、同じく卒業試験を受けている学友に会い、一緒に旅をするようになる。
仲間と様々な試練を乗り越えながら、五つの泉を全て見つけ、ついに学校の目の前まで辿り着く。



が、最後の試練を乗り越えるために、魔法を使ったスキクーの寿命は尽きてしまった。
学校に着き、長い長い試練を終える。皆々がわあわあと騒ぎ始め、卒業記念の祝祭が始まるなか、スキクーはニナを連れ、こっそりと抜け出した。


嬉しげに笑っているニナの前にしゃがみこみ、今まで黙っていたことを話した。

幼い頃の記憶が全くないこと。魔法を使うたび、人より疲れてしまうこと。恐らくわたしはイレギュラーな存在で、延命魔法がかかっていないこと。そうして、さっき、寿命を使い切ってしまったこと。


大きな目を丸くさせ、ひどく泣きじゃくるニナを、透けかかっている指先で撫でる。うそつき、うそつき、と膝を叩くニナ。

ごめんね、でも最後くらい、笑ってほしいな。
もう後ろの景色が透けて見えるくらい消えかかっている彼女の姿に、その言葉に、心優しいフェネックは、大粒の涙をどうにか堪えて、震えたまま笑う。

スキクーは彼を抱き締めて、もうひとつだけ、嘘ついちゃった。と呟く。



ニナが聞き返そうとした瞬間、後ろで大きな音が聞こえた。柔らかな耳がびくっと震え、毛を逆立てながら振り返る。


「あれ?おかしいな、火薬と結晶は青にしたのに…」
「まあいいじゃん。綺麗だし」


緑色と赤色の花が、夜空に咲いていた。
彼女の、最期の魔法だった。





◎付属要素

緑と赤のオッドアイ、耳、尻尾、フェネックの嗜好や特徴など




◎要約

なんと今度は魔法の世界。
魔法学校の生徒であるスキクーは砂漠の真ん中で目が覚め、言葉を喋るフェネックに呆れられる。
フェネックは幼い頃からスキクーのパートナーだったらしい。そして今は、卒業試験の真っ最中!

試験内容は、世界各地に五つある魔力の泉を、一年間で回ること。そして一年以内に学校へ戻ってくることだった。

魔法を使い、学友を仲間にしながら、一緒に旅を続けること十ヶ月。とうとう五つの泉を全て見つけ、学校へ帰ることになった。

旅の道中、スキクーは疑問を抱いていた。魔法を使うのには生命力=寿命がいる。でも学友たちは疲れることがない。話を聞くと、学校長によって延命魔法をかけられているらしい。あれあれ?じゃあ、わたしは?


そして一行は学校に着いた。それと同時に、スキクーの寿命が尽きる。
最期の魔法をニナ達に見せ、スキクーは消滅していったのだった。






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