捧げもの | ナノ

 『1つ上の朱毛の先輩。』 レイン様相互記念/学パロルクティア




「グランツさん!ファブレ先輩、来てるよ!」

「あ…ありがとう。いまいくわ」

休み時間。こうして呼ばれて席を立つのは、彼と知り合って何度目だろうか。

ファブレ…ルーク先輩と知り合ったのは、つい数ヶ月前。
きっかけは、移動教室の時に落としたペンケースを拾ってもらったこと。
それについていたチーグルの小さなストラップをみて、話しかけてくれて。
彼の家でチーグルを飼っているらしくて、そいつに似てるんだって、ニカッと笑みを浮かべていた。

わたしの兄が彼の部活の顧問ということもあってか、わたしの名前も、知っていた。

あれから、彼はちょくちょくわたしに会いに来る。


「ティア!今日昼休み時間あるか?」

「昼休み?ええ、大丈夫ですけど」

「じゃあ一緒に昼飯食わね?」

「わかりました」


教室の入り口から顔を出して、こうして誘ってくれる。
嬉しいけれど、すこし、回りの視線が痛い。


ルーク先輩は、男女共に人気がある。人懐っこい性格してるし、勉強もまあそこそこできるらしいし、なにより、彼はバスケ部のエース。兄のアッシュは生徒会長だ。その彼女のナタリアは前生徒会長であり、理事長の娘らしい。

ルーク先輩の回りにはいつも人がいっぱいいるのに、わたしを見つけるとこちらにきて声をかけてくる。

どうして、わたしに声をかけてくれるのかしら。

いまだに不思議でしょうがない。


「お、いたいた。ごめん、待ったか?」

「いえ、わたしも今来たところです」

「そっか。じゃあ、今日あついし、俺の教室で食わね?」

「え…あ、はい」


何回か一緒にお昼を食べたことはあったけれど、教室で食べようと誘われたのははじめてだった。
上級生の教室に行くのは、なんだかとても緊張する。隣のクラスに行くのさえ、少し緊張するというのに。

教室につくと、彼のクラスメイトと思われる男子たちにだいぶからかわれた。女子達はちらちらこちらをみてくるし、居心地の悪さが倍増する。

「ごめんな、なんかうるさくて。屋上でもよかったんだけど、だいぶ人いたし…」

「い、いえ…大丈夫です」

沈黙。
つられるかのように教室にいる人たちも、少し静かになって。

耐えきれなくなったのか、先輩は勢いよく弁当箱のふたを開けて、手を合わせた。

「た、食べるか!いただきます!」

「え、ええ…いただきます」

少し遅れてわたしも食べはじめて、教室にいる人たちも、わたしがいるのになれてきたのか、気にしなくなったのか。普通に食べ始めたり、遊び始めた。

わたしの緊張も少しずつほぐれてきて、いつもどおりな会話ができるようになってきた。
半分ほど食べ終わって、なにやら視線を感じて顔をあげると、先輩がじっとわたしの顔を見ていて。よくわからないまま見つめ返すと、あ、と思い付いたように声をあげた。

「お前さ、俺に敬語使わなくていいよ」

「え?」

「俺そういうの苦手だし」

「………」

「…ティア?」

敬語で、なくてもいい。
まったく予想してなかったことなので、言葉がでなかった。
先輩なのに、敬語で話さなくていいのかしら。でも、彼が望んでいるのなら…

意を決して、口を開く。

「…、わ、わかったわ。…これで、いいかしら…」

「…っ…お、おう!先輩もいらないからな!」

先輩も、いらない。
なんだか恥ずかしくて、顔に熱が集まっていくのを感じる。

「…、…る…ルーク…?」

「…………」


返事が気になって、ちらりとルークの顔をみる。
彼は、顔を両手でおおっていた。少しだけ見える耳は彼の髪の色と同じくらい赤く染まっていて、わたしまでなんだか恥ずかしくなってくる。

ルークが何も言わないから、少しだけ不安に思って、もう一度呼んでみる。

「ルーク…?」

「…俺さ、結構前から、ティアのこと知ってたんだ。師匠の妹だって知る前から」

「え…」

「ずっと、話してみたいなって思ってたからさ。あのとき、勇気出してよかった!」


『ティア・グランツ…さん、だよな?ペンケース、落ちてたぜ』

あのときの彼の顔が浮かぶ。

話してみたいって思われたことなんて初めてで、嬉しくて恥ずかしくて、なんだか少しくすぐったい。


「ティア…これからも、よろしくな?」

「ルーク…ええ、こちらこそ」

ニコリと微笑むと、ルークは少し頬を染めてはにかんだ。

「やべー、なんかいま俺すっげー幸せなんだけど」

「…っば、ばか…」

「あ、あとさ!これからも昼飯誘っていいか?」

「ええ、構わないわ。
あ…お弁当早く食べないと、そろそろ昼休みが終わってしまうわ。…食べましょう?」


そうだな!と笑って、再び箸をすすめる。
好きなものはチキン。嫌いなものは、にんじん。今日一緒にお昼を食べて知ったこと。

わたしたちはまだ知り合ったばかりで、お互いに知らないことだらけだ。
彼の…ルークのこと、もっと、知りたい。

今度一緒にお昼を食べるときは、飼っているチーグルの名前と…どうして、わたしと話したいって思ってくれたのか、…聞いてみようかしら。


fin

――――――

たいっへんお待たせいたしました…!!!!
レイン様、相互リンクありがとうございます!!

リクは学パロルクティアということで、こんな感じに…(^о^)

某ツンデレピアニスト先輩のおかげで先輩後輩のあまずっぱーい関係が大好物になりました。


ちょっとしばらくアビスやれてなかったので、口調が若干心配ですが…!!

レイン様、だいぶ遅くなってしまいましたが、よろしければ受け取ってください…!


小説書く感覚ちょっとずつでいいから取り戻していきたいな…(


120930 べべ

prev / next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -