▼ 『1つ上の朱毛の先輩。』 レイン様相互記念/学パロルクティア
「グランツさん!ファブレ先輩、来てるよ!」
「あ…ありがとう。いまいくわ」
休み時間。こうして呼ばれて席を立つのは、彼と知り合って何度目だろうか。
ファブレ…ルーク先輩と知り合ったのは、つい数ヶ月前。
きっかけは、移動教室の時に落としたペンケースを拾ってもらったこと。
それについていたチーグルの小さなストラップをみて、話しかけてくれて。
彼の家でチーグルを飼っているらしくて、そいつに似てるんだって、ニカッと笑みを浮かべていた。
わたしの兄が彼の部活の顧問ということもあってか、わたしの名前も、知っていた。
あれから、彼はちょくちょくわたしに会いに来る。
「ティア!今日昼休み時間あるか?」
「昼休み?ええ、大丈夫ですけど」
「じゃあ一緒に昼飯食わね?」
「わかりました」
教室の入り口から顔を出して、こうして誘ってくれる。
嬉しいけれど、すこし、回りの視線が痛い。
ルーク先輩は、男女共に人気がある。人懐っこい性格してるし、勉強もまあそこそこできるらしいし、なにより、彼はバスケ部のエース。兄のアッシュは生徒会長だ。その彼女のナタリアは前生徒会長であり、理事長の娘らしい。
ルーク先輩の回りにはいつも人がいっぱいいるのに、わたしを見つけるとこちらにきて声をかけてくる。
どうして、わたしに声をかけてくれるのかしら。
いまだに不思議でしょうがない。
「お、いたいた。ごめん、待ったか?」
「いえ、わたしも今来たところです」
「そっか。じゃあ、今日あついし、俺の教室で食わね?」
「え…あ、はい」
何回か一緒にお昼を食べたことはあったけれど、教室で食べようと誘われたのははじめてだった。
上級生の教室に行くのは、なんだかとても緊張する。隣のクラスに行くのさえ、少し緊張するというのに。
教室につくと、彼のクラスメイトと思われる男子たちにだいぶからかわれた。女子達はちらちらこちらをみてくるし、居心地の悪さが倍増する。
「ごめんな、なんかうるさくて。屋上でもよかったんだけど、だいぶ人いたし…」
「い、いえ…大丈夫です」
沈黙。
つられるかのように教室にいる人たちも、少し静かになって。
耐えきれなくなったのか、先輩は勢いよく弁当箱のふたを開けて、手を合わせた。
「た、食べるか!いただきます!」
「え、ええ…いただきます」
少し遅れてわたしも食べはじめて、教室にいる人たちも、わたしがいるのになれてきたのか、気にしなくなったのか。普通に食べ始めたり、遊び始めた。
わたしの緊張も少しずつほぐれてきて、いつもどおりな会話ができるようになってきた。
半分ほど食べ終わって、なにやら視線を感じて顔をあげると、先輩がじっとわたしの顔を見ていて。よくわからないまま見つめ返すと、あ、と思い付いたように声をあげた。
「お前さ、俺に敬語使わなくていいよ」
「え?」
「俺そういうの苦手だし」
「………」
「…ティア?」
敬語で、なくてもいい。
まったく予想してなかったことなので、言葉がでなかった。
先輩なのに、敬語で話さなくていいのかしら。でも、彼が望んでいるのなら…
意を決して、口を開く。
「…、わ、わかったわ。…これで、いいかしら…」
「…っ…お、おう!先輩もいらないからな!」
先輩も、いらない。
なんだか恥ずかしくて、顔に熱が集まっていくのを感じる。
「…、…る…ルーク…?」
「…………」
返事が気になって、ちらりとルークの顔をみる。
彼は、顔を両手でおおっていた。少しだけ見える耳は彼の髪の色と同じくらい赤く染まっていて、わたしまでなんだか恥ずかしくなってくる。
ルークが何も言わないから、少しだけ不安に思って、もう一度呼んでみる。
「ルーク…?」
「…俺さ、結構前から、ティアのこと知ってたんだ。師匠の妹だって知る前から」
「え…」
「ずっと、話してみたいなって思ってたからさ。あのとき、勇気出してよかった!」
『ティア・グランツ…さん、だよな?ペンケース、落ちてたぜ』
あのときの彼の顔が浮かぶ。
話してみたいって思われたことなんて初めてで、嬉しくて恥ずかしくて、なんだか少しくすぐったい。
「ティア…これからも、よろしくな?」
「ルーク…ええ、こちらこそ」
ニコリと微笑むと、ルークは少し頬を染めてはにかんだ。
「やべー、なんかいま俺すっげー幸せなんだけど」
「…っば、ばか…」
「あ、あとさ!これからも昼飯誘っていいか?」
「ええ、構わないわ。
あ…お弁当早く食べないと、そろそろ昼休みが終わってしまうわ。…食べましょう?」
そうだな!と笑って、再び箸をすすめる。
好きなものはチキン。嫌いなものは、にんじん。今日一緒にお昼を食べて知ったこと。
わたしたちはまだ知り合ったばかりで、お互いに知らないことだらけだ。
彼の…ルークのこと、もっと、知りたい。
今度一緒にお昼を食べるときは、飼っているチーグルの名前と…どうして、わたしと話したいって思ってくれたのか、…聞いてみようかしら。
fin
――――――
たいっへんお待たせいたしました…!!!!
レイン様、相互リンクありがとうございます!!
リクは学パロルクティアということで、こんな感じに…(^о^)
某ツンデレピアニスト先輩のおかげで先輩後輩のあまずっぱーい関係が大好物になりました。
ちょっとしばらくアビスやれてなかったので、口調が若干心配ですが…!!
レイン様、だいぶ遅くなってしまいましたが、よろしければ受け取ってください…!
小説書く感覚ちょっとずつでいいから取り戻していきたいな…(
120930 べべ
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