小説 | ナノ

 さよなら初恋 (ルク←ノエ)

ケテルブルクにいくならスパでもいこうよ、というアニスさんの提案で、ノエルもいこうと誘われるがまま人生で初めてのスパを体験して。
「また明日から頑張ってもらうんだからゆっくり休まないと」とアニスさんに言われて
高級と聞いて気が引けたけれど、結局ルークさんたちと共にホテルに泊まることになった。


「二人部屋が2つ、三人部屋が1つしか空いてないそうです。どうしますか?」

受付から戻ってきて、ジェイドさんはにこやかに言う。先程からの大雪で今日は船が出ないらしく、個室が全て埋まってしまったそうだ。

皆そういうことにはなれているらしくて、ガイさんが一枚メモ用紙を破ってあみだくじを作り、それそれ選んで結果を待つ。


「…じゃ、発表するぞ。どうなっても文句言わないこと」


あみだくじの結果、
ガイさんとアニスさん、ジェイドさんとナタリアさんとティアさん、そして、ルークさんと私が同室となった。

「ルーク、ノエルを襲ったりすんなよ」

「ばかじゃねーの」

ガイさんのその茶化しに、思わず顔が赤くなってしまう。
ルークさんと2人きり、なんて、いつぶりだろう。もうすでに心臓がうるさい。荷物置きに行こう、と微笑んだルークさんの背中を見ながら、小さく深呼吸をした。

それから夕食を食べ、それぞれ風呂に入って、眠くなるまで皆で雑談をして。
疲れていたのか、ルークさんは部屋に戻って少し話をしながら日記を書くとすぐに寝てしまった。
ルークさんの寝ているベッドの脇にしゃがんで、ちょっとだけ、とその寝顔を眺める。


「ん……てぃあ……」

もぞもぞ動いたかと思うと、幸せそうにふにゃりと笑って。
その口は、想い人の名を呼ぶ。

ルークさんがティアさんに好意をよせているということには、すぐに気がついた。

きっと、私と出会う前から。
ルークさんのことが好きだと気づいたときにはもう、あの2人は、伝えてはないもののお互いを想っていたのだと思う。

この想いが叶うことはない。
ルークさんに想われているティアさんのことを考えると、ちょっとだけ悔しくて、胸が苦しくて。
─もし、私がルークさんの想い人になれたなら。そんな想像したけれど、どこかしっくりこなくて止める。


─…ああ、きっと私は、ティアさんのことを大切に想っている姿も含めて、ルークさんに惹かれたのだ。



(……ちょっと、ずるいです)

そのことに気づいてしまったら、もう。


普段より大分幼く感じるその寝顔を見つめて、唇だけで、ルーク と呼んでみる。いつもさん付けで呼んでいたから、なんだかこそばゆい。

当然返事が返ってくることもなく、寒いのか、ん〜と小さく唸って毛布に深く潜り込んでしまった。さらに寝返りもして、朱毛が少しのぞくだけで顔が見えなくなって
その姿に思わず頬が緩む。




少し冷えてしまった体を暖めるように自分のベッドに潜り込んで


──この旅が終わったとき
2人が、幸せそうに笑いあえる世界であればいい。


そう願いながら、目を閉じた。




fin


─────
片思い系の話が書きたくなって
書いたものです…!
気に入らないところとか、あとで修正するかもです。

ノエルは、すぐには諦めきれなくて悩んで、最終的に決戦前夜の海上デートのときに、きっちり諦めればいいかと。アニスは何だかんだでノエルの気持ちに気づいてると思います

それでその後いろいろあって
空白の二年間の間にガイとくっつけばいいよ…!ガイノエ好き!←


110516 べべ






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