ESCAPE | ナノ

ESCAPE

03







けたたましい目覚ましの音で目を覚ます。普段なら既にアカデミーにいる時間なのだろうけれど今日は構わない。なぜなら午前中の授業は男女別だからだ。
わたしは腹の中の諸事情で性別は出来る限りあやふやにはぐらかしている。その為火影様直々の御命令により性別バレする男女別の授業は聴講しなくても構わないとのお達しだ。まあ外見で大体が男と勘違いしてくれているけれど。
だけどわたしもわざわざ既に得ている知識の為に時間を無駄にしなくてもいいし何より里長公認のサボりとはなんとも美味しい限りである。とは言っても週一だけなのだが。
そんな風に考えながらベッドの上でごろごろと微睡んでいたらあっという間に起きなくてはいけない時間になってしまった。めんどくさい、と呟きながら適当に牛乳を飲む。飲み終わってから賞味期限が今日までだということに気がついた。危ないから帰ったら温めて全部飲んでしまおう。
牛乳、賞味期限、ホットと書いた付箋紙を冷蔵庫に張った。そのまま冷蔵庫の横にある鏡を見ながら背中にかかる髪を目立たないように束ねて、黒い半袖の上に羽織った派手なオレンジ色の上着で隠す。悲しいかな、上の方を少しだけ切ったおかげでどこからどう見ても少年にしか見えない。
軽食だけ持って、姿見の前で悪戯小僧のように笑ってみせる。背中に隠したあの時の忍刀が見えないかを確認してから、勢い良く家を飛び出した。




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