ESCAPE | ナノ

ESCAPE

02







真っ赤に染まった身体を引きずって川に飛び込んだ。
沈む身体から血が煙のように剥がれていく。それほど時間が経ってなかったからか適当に泳いだら綺麗に落ちた。
岸に上がって刀を抜く。血の付いたそれは教科書で見たものより小振りではあるけれど、確かに忍刀だ。先程の暗部の所持品だったが、もう二度と使われないだろうから拝借してしまった。
動かす度微かに聞こえる涼やかな音。鈴だろうか。持ち手の辺りにこびり付いた血を川の水で洗うと、赤い紐で結ばれて日光を浴び銀色に光る小さな鈴が付いていた。それを躊躇無く引きちぎって川に投げる。他に証拠となりそうなものは無いかと続いて鞘も川に沈めて血を落とし、痕跡を消しながら要らぬ装飾品を捨てていく。
只管無言で作業を続け、気がつけば太陽が西に傾き始めていた。そろそろ気がついた暗部がこっちにも来るかもしれない。乾いた上着で刀を包んで脇に抱える。少々不自然かもしれないけれど、走ればいい。

「っ、」

斬られた足が痛む。それでも放っておいても完治してしまうから多少の怪我に一々構ってはいられない。
震えた膝に力を入れ、夕日で明るく染まった市街地を目指しわたしは足を動かした。





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