ESCAPE | ナノ

ESCAPE

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生徒になるであろう三人を連れて歩く。成績トップの二人とドベの一人で他の班との実力差を無くしたようにした結果のメンバーだ。あくまでも、表面上は。
成績に差はあっても相性を考えず、最も厄介なうちはの生き残りと九尾の人柱力をまとめたのは上層部だ。
ドベとされているがそもそも彼女は四代目とクシナさんの娘で本来ならばうちはにも劣らない才能を秘めているのに。
少し振り向けば少女と何か話しながら歩く彼女が見える。聞いていた通り少年にも見える雰囲気だ。
本当は、上忍師になんてなるつもりはなかった。また直ぐ里外任務に付くつもりでいたのだし。そもそも教師に向いてない、というのもあったけど、何より会うのが怖くてたまらなかったのだ。彼女がいる班なら尚のことで。だって俺は見殺しにしたも同然なのだ。彼女は俺を知らないけれど、俺は彼女を知っていたのに。
先生とクシナさんが死んだと知らされた時、真っ先に思い浮かんだのがまだ見ぬ彼女のことで。俺はずっと先生からお腹の彼女のことを聞かされていた。言外に何かあったら頼むと言われた気がしていたのだ。だからあの頃はきっと暗部を続けながらも俺が護衛をしたり、時々遊んであげたりするんだろうなと思っていて。多分、勝手に妹のように思っていたんだと思う。
だからあの日、俺は別に自分が引き取ってもいいと思っていた。人柱力はどういう目で見られるか知っていたから、だからせめて俺が二人の分までとはいかないけど、沢山愛情を示せたらいいと思っていたのだ。
結局、ああして引き離されてしまったけれど。でも一度里外任務に出てしまえばもう怖くて彼女の前には行けなかった。先生が望んだような英雄の子としてではなく、人柱力として暮らしていると知ってしまったから。だから、俺は。
結局守りたいものも守れないままの、弱い自分に吐き気がした。







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