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ESCAPE

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向かった先は誰もいない広場だった。先生が段差に座り、その真正面にわたし達も座る。サスケが真ん中で隣にサクラ、そしてわたしという順番だ。

「そうだな…まずは自己紹介でもしてもらおう。好き嫌いに趣味、将来の夢…ま、そんなのだ」

先ほどとは違いにっこり笑って言った言葉に素早くサクラが突っ込んだ。

「その前に先生がしてくれません?なんか見た目怪しいし」

サクラの言葉にやや俯いていたサスケの顔が上がる。まあ確かに怪しい。箒みたいな銀髪に顔の四分の三をマスクで隠した猫背気味の男はどう考えたって怪しい。警務隊に職質されそうな見た目だ。

「俺?俺ははたけカカシって名前だ。好き嫌いをお前らに教えるつもりはない。この年で将来の夢って言われてもなあ…ま、趣味は色々だ」

「え、それだけ?」

結局名前しか言ってないのは自己紹介と言えるのだろうか。

「ねえ、結局分かったのって名前だけじゃない…?」

サクラがつまらなそうに言う。
まあ初対面でプライベートなこと言う大人もなかなかいないか。

「まあまあ、次はお前らの番ね。じゃあ…」

誰にしようか、といった風にわたし達を見渡すカカシ先生と目が合った。

「右の子から」

「ん…名前はうずまきナギサ。好きなものはラーメンで…あ、特に一楽のイルカ先生が奢ってくれる一杯が一番好き。で、嫌いというか…苦手なものは生ものとカップラーメンにお湯入れてからの三分間」

次は将来の夢か。火影?でも夢という程綺麗でもないし。うーん、何だろう。まあでも強くはなりたい。

「将来の夢…んー、火影を超えるくらい強くなりたいってばね。それで…」

考えながら言ったせいかつい癖が出てしまった。
どうしようかと考えた時。ふと、里人の目を思い出した。わたしを見るあの目。憎悪に覆われた恐怖の塊のような視線。わたしを見てるようで見ていない、よくわからない視線。

「とりあえず、里の奴ら見返してやりたい」

先ずはそこからかな。ふ、と和らいだ先生の目に首を傾げながら、趣味を考える。悪戯くらいしか思い付かないけど、他にもあったほうがいいのだろうか。

「で、趣味は悪戯と…カップラーメンの食べ比べ、かな」

言った後で自己紹介がラーメンばかりということに気が付いた。しまった家庭菜園やってるんだからガーデニングって言えたのに。

「ちゃんと栄養あるものも食べなさいよ…はい、じゃあ次」

微苦笑した先生が次、わたしの隣にいるサスケに顔を向けた。






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