ESCAPE | ナノ

ESCAPE

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おむすびを片手にふらふらと歩く。ヒナタやシカマルは既に班の他のメンバーと共に上忍師が迎えに来て行ってしまってもういない。わたしが配属された第七班はまだ待機で、集合は昼過ぎだ。お昼作ってきて本当に良かった。

「あ、サクラちゃん」

行儀は悪いが誰も見ていないからと歩きながら食べていたおにぎりを水筒に入れた水で流し込む。木陰のベンチに座るサクラもわたしに気が付いたのか手を振った。

「ねえちょっとナギサ、サスケ君見てない?」

同じ班になってからの初の会話がサスケの居場所かよ。そう思いながらアカデミーを出て直ぐ、女の子達に追われて屋根を走るサスケの姿を思い出した。

「…見てないけど」

途端にうなだれたサクラを見るに、どうやら撒かれたようだ。

「サスケのどこが好いんだか」

しゃーんなろー!!と叫びながら辺りを見回すサクラに呟く。ふとベンチを見ると、女の子にしては大きめの弁当箱が広げられていた。サスケにお裾分けでもするつもりだったのだろうか。

「…一個もーらい!」

「え?…ってちょっとバカナギサ!!」

一口くらいいいかなと、明らかに二人分ある出汁巻き卵を一つ口に放り込んだ。じんわりと広がる塩味に口が引きつる。

「…ちょっと、塩味が効き過ぎてないかなサクラちゃん」

砂糖と間違えたにしてもこれは味付けが少し濃すぎる気がするぞ。

「はあ?アンタ私に喧嘩売ってんの?!」

じゃあ食ってみろよとサクラを促す。不機嫌そうな顔で出汁巻きを食べると、途端に顔を青くした。やはり味見はしていなかったようだ。
サスケに食べさせる前にわたしが食べて良かったと言うべきか、先に食べたわたしは災難だったと言うべきか。
落ち込むサクラに少し助言をし、わたしはこれ以上の被害を被らない為にもその場を離れた。






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