ESCAPE | ナノ

ESCAPE

18







抱き止めてくれるのかと思いきや、サスケはわたし諸共床に倒れ込んだ。急だったとは言え倒れた女一人抱き止められないとか脆弱な筋肉だな。
そんなことを思いながら、唇に感じた妙に生温かく柔らかい感覚に断末魔のような悲鳴を上げた女の子達以上にわたしは泣きたくなった。

「っ、テメー何しやがる!!」

「それはこっちの台詞だってば!!」

よくもわたしのファーストを奪いやがって。口を押さえてわたしを睨むサスケを睨み返す。まあいいやと軽い気持ちで飛び込んだのは既に記憶の遥か彼方だ。

「人の初めて奪いやがって…この人でなしっ!!」

「なっ、あ、おいっ!」

未だ残る生々しい感触を消すかのように、ぐいっと唇を袖で強く拭いシカマルの下へと駆ける。サスケもサスケできゃーきゃー騒ぐ彼女達が鬱陶しかったのか、気まずくなったのかまだ誰も座っていない列の席に座った。

「…災難だったな、ナギサ」

苦笑を浮かべたシカマルが席を詰め、空いたスペースに座る。

「ん、まったくだよ!」

何であんなのが良いんだか、と一人ごちるとヒナタが心配そうな顔で近くに来た。

「あの、ナギサくん…怪我とかは大丈夫…?」

「うん。ありがとうヒナタ」

微笑むと途端に顔を真っ赤にするヒナタは可愛い。もう本当に家に来ればいいと思うよこの子。

「あ、う…ナギサちゃ」

「おい、そろそろヒナタで遊ぶの止めとけ。イルカ先生来たぞ」

呆れたようなシカマルの声に前を向くと、ボード片手にイルカ先生が入ってきた。班分けと言うこともあり教室に緊張が走る。そんな中でも小さく手を振ると律儀に微笑み返してくれる先生に一人テンションが上がる。

「班分けってどうするんだろう…」

「任務とかでずっと一緒にいられるし、同じだったらいいね」

ヒナタ、シカマル、キバ、チョウジ、シノ。組むのならこの中の誰かとがいい。でもシカマルとチョウジはどうせイノも入れた猪鹿蝶グループだろうけど。

「めんどくせぇが、どうせ勝手に決められてるだろうよ」

自由に組ませて班のパワーバランスに差が出来ても困るだろうからな、と珍しく冷静に分析したシカマルの言った通りになったのか教室から不満の声が上がる。

「ま、班が違ったとしても合同任務とかあるだろう」

イルカ先生の説明を聞きながら欠伸をしたシカマルに微苦笑し、班の発表を始めたイルカ先生を見た。






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