ESCAPE | ナノ

ESCAPE

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「どこまでもめでたい野郎だな。お前は後回しにする予定だったが…この際お前からでもいい…死ねえええええ!!」

地を這うように滑るクナイを全て叩き落とし、諦めたような微笑を浮かべていたイルカ先生を振り返った。

「悪戯好きでひねくれてて、あんまり素直じゃなくて悪かったねイルカ先生」

震えそうになる声を刀を強く握ることでやり過ごす。
はたして、わたしは上手く笑えているだろうか。

「馬鹿野郎!なんで戻ってきたんだ…!!」

「ククッ…教師が馬鹿ならその生徒まで馬鹿とはなァ!そのまま逃げれば死なずにすんだのに、よォ!!」

にやりと笑ってミズキ先生が背負っていた風魔手裏剣を投げた。一つだったそれは二つに別れ、左右から挟み込むようにわたし目掛けて飛んでくる。

「ナギサ!!」

「大丈夫。先生はわたしが守るから」

この距離と角度ならイルカ先生には当たらない。
手裏剣を躱し、ミズキ先生へ向かって一直線に駆け抜け刀を振り上げる。
未だ笑みを浮かべ、余裕さえ見せるミズキ先生に気がついて振り返ると手裏剣は両方とも、わたしを追尾していた。反射的に、足場のない空中で少しでも急所から逸れるようにと身体を捻る。それでもやっぱり間に合わなくて、ぐしゃり、と夜の森に肉が裂ける音が響いた。






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