ESCAPE | ナノ

ESCAPE

05







一番最初に覚えたのは毒の有無の見分け方だった。
世話係の暗部の人が置いていった食事には高確率で毒が入っていたから、当然と言えば当然だ。でもいくら致死量を大幅に超えた毒を飲まされてもわたしの中にいるモノのお陰でわたしは死なない。どれだけ苦しんでも死なない程度に自然に解毒されていく。だからいつからか、わたしの身体自体に毒の耐性が出来てしまっていた。

「なあナギサ、なんで授業に出ないんだ?」

日が沈み、紫色の空を見ながらイルカ先生と歩く。放課後の掃除が終わって解散した後、わたしだけイルカ先生に呼び出されたのだけれど、別に一楽を奢ってくれるという誘いに釣られたわけではない。

「先生、三代目に聞いてない?」

火影から担任には伝えられているはずだけど、聞いてないのだろうか。

「いや、お前が男女別授業の免除が与えられてるのは聞いてるけどな、忍者に要らない知識なんてないし、そもそも毒草と薬草の見分け方を習う機会なんてなかなかないぞ?」

先生だって見分けられないしな、と笑った先生にわたしも笑った。笑顔のまま先生、と続けて立ち止まったわたしに、先生も立ち止まる。

「毒の有無を見分ける程度なら、習わずとも出来るよ」

訳が分からないといった表情のイルカ先生に、更に笑みを深くした。

「イルカ先生、折角一楽に誘ってくれて申し訳ないけど、夕飯食べれなくなっちゃうから今日はこれで帰るね」

先生が何か言う前に、手を振って走り出す。
後から思えば、これは無意識に出したわたしなりのサインだったのかもしれない。





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