無意味な転生 | ナノ
1〜バナナはお好きですか?〜微※

 へいへい。聞いてくれ!
 …いや、教えてくれ!
 人は未曾有の場面に出くわしたら、どんな対応が取れると言うのかを。

 例の天使のような少年、踊り子ドウテを宿へと案内した後、オレは家に戻った。そしていつものごとく夜まで寝ることにした。寝れる時には寝る。ここ最近のオレの心得3だ。
 だが、それはいきなり妨げられることになる。
 夢の世界に飛び立っていたはずのオレを呼び戻したのはなんともスースーする感覚だった。
 なんだろうと動かない頭のままうっすらと瞼を開いていく。
 だが、あり得ないモノが写った瞬間、オレの意識は一気に夢の国から帰還した。起きたら、なぜか下半身すっぽんぽんになっていて、更に股の間から知らない人の顔がにょきっと生えていたんだ!
 そんな吃驚な事態に陥っていたんだぞ!?

 そしてこれでもかと眼をまん丸にしているオレに向って、彼は平然と朝の挨拶をしてきた。…オレの股越しに。

「おはよう、村人ディーくん」

 にっこりとほほ笑むのは歩く18禁だと思えるほど色気ムンムンの男性。
 波打つ金髪が頬に当たっているのも、エメラルドの少し垂れ下がった瞳が甘い輝きを放っているのも、少し大きめの口が笑みを浮かべているのもひどく艶めかしくて、女性が見れば見惚れてしまうこと間違いないほど悩殺的な表情だった。いや、男性でも思わずその気になる者も多いだろう。
 エロスの体現化だ。

 だが、それも平常な時だけだ。今のこの状態でその魅惑の笑顔を見ても、ただただ冷や汗が流れるだけだろう。

「ねぇ?聞いている?」

 そう言うとその形のいい口をまるでバナナを被り付こうとするように、細めに開けてきた。

「た、たんま!ちょっ!」

 彼の狙いがただのバナナではなく、オレの大切な息子バナナである。だからオレは慌てて、彼の頭を押さえて止めに掛かった。

 そう。この色気たっぷりの男。実は普通に目の前に立っているのではなく、ベッドで横たわるオレの足の間に身体を割り込ませているのだ。
 いつの間にか脱がされたズボン。生になった両足のひざ裏を両手で持ち上げ、その股の間にフェロモンを放出する顔を入れたまま、こっちを見上げている。
 息がかかりそうなほどオレの急所と彼の顔は近い。
 あまりの事態で縮こまっているオレのモノ。まるで腐ったグニョグニョのバナナになっている。

「なに?聞いてた話と違うね。こう言うのが好きなんじゃないの?」

 なんで、反応なしなの?

 そう言いながらふっとバナナに息を掛けられて全身サブイボが立つ。

 この状態で、反応できる人がいたら逆に教えてほしい。いや、変態はこれ以上いらないか…。

 心の中だけで返事を返していたが、男には黙秘を守る形になっているために、男は次のステップへと移行してきた。

「それとも、やっぱ下を刺激にしないともう反応しなくなっちゃったのかな?さすが、ナルが淫魔と言うだけあるね」

 優しげにとんでもない事を言う色男は再び、口をあーんと空けてオレのバナナに近づいてきた。さらにその下にまで指を伸ばしてくる。

 ボーとしている場合じゃねえ!そのバナナは食べ物じゃあねえ!それに、バナナの下には何も楽しいものはない!

 なんとか阻止しなければ…。


 勇者軍団、残すは後2名。腐ったバナナは食べたらダメだけど、育つバナナは食べてもいいと思います^^

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