無意味な転生 | ナノ
1.ハゲ村長とガリ牧師の功績

 へいへい。聞いてくれ!
 変態ストーカー&腐れナルシストVS幼なじみSコンビの闘い。
 村にとってはアルマゲドン級のモノだったぜ。

 なぜなら、村の隅っこ…オレが木箱で寝ていた場所なのだが、そこにぽっかりと大きなクレーターが空いていた。
 マッチョ魔術師、マッドの大技魔法と、Sモンク、サブのバリアがぶつかり合ったことで生じたものらしい。

 さらにその辺り一帯、血だらけになっている。大量殺戮現場のようだ。
 その癖に4人とも傷1つなしときたものだ。

 どうやら、瀕死前まで彼らは死闘を繰り返し、最高級の癒し呪文で回復したとか…。

 なに、それ。そもそも、なぜ村の案内人でしかないボブサブが勇者軍団と同格なんだ。おかしいだろう。やはり、2人ともまとめて勇者軍団に入っちまえと思うのは俺だけか?いや、村人全体の願いだろうな。村の平和の為に。

 明後日ぐらいには来る勇者が二人の腕に惚れ込んでってパターンが理想だな。

 オレは、そんな甘い未来を描いていた。

 そう。とうとう、明後日ぐらいに勇者が来ることが確定となった。それは最近髪の毛の後退が著しい村長様と一段と痩せて細くなった牧師様との功績だった。

 大きなたんこぶを拵えながら彼らは、自分たちの息子たちと魔法使いと僧侶との死闘を身体を張って止めに入った。
 そして、勇者一行(二人)に頭を下げつつ、懇願する。

「基本的に勇者様方は共に行動することが大切であると聞きます。この村が夜に姿を現すことは分ったでしょうから、ぜひとも勇者様の元に一度戻られて、皆さまでお越しください。心よりお待ちしておりますので」

 流石、年の頃である。そう言われて、役目を思い出した変態とナルシストは渋々村を一旦出ることになった。
 ボブサブもさすがに自分の親を殴ってまで家から飛び出した事に罪悪感があったようで、大人しく自分の家へと帰っていったらしい。

 睡眠不足Maxのオレはどうにでもなれと自分の家のベッドで寝ていたが、そのおかげで惰眠を貪ることができたのだ。
 久々に寝不足が解消され、頭がすっきりしてくる。腰は相変わらず痛いが…。

 ああ。とうとう、勇者軍団が来るのか…。

 それはモブとしての仕事を果たす時だ。イレギュラーにも先に二人と出会ってしまったが、勇者様本人が来た時はきちんと村人Dとして台詞を言わなければいけない。

 そうだ。ここで、一つだけ朗報があった。あまりにもの状態に憐れんでくれた村長は台詞を変えてくれた。

『サブとボブ…。どちらがいいか…。好きだから迷う…』

ではなく、

『かっこいいボブと素敵なサブなら、秘密のダンジョンのことをよく知っているさ』

 となった。正直選びたくない選択だが、100歩よりは50歩の方がマシなので後者を選択した。かっこいいとか素敵の台詞はごにょごにょで誤魔化せば済む話だ。
 うん。オレは村人Dを熟せる。

 後2日で役目はとりあえず終わるはずだ。

 そしたら、一旦隣の村に避難しよう。変態集団もとい、勇者集団が魔王城へ向かうのを見届けてから戻るのがいいだろう。

 川のほとりで座り込んでオレはそう結論を出した。
 畑仕事をするにはまだまだ腰に不安が残っているし、何もすることがない。

 オレは暇つぶしに例のごとく、日本の歌を口ずさむことにした。
 これが再びトラブルを引き起こすきっかけになるとも知らずに。

 呼びに行った魔法使いと僧侶だったが、それとは入れ違いで、勇者一行の一人が村に到着していたことも知らなかった。


 次は誰でしょうw

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