「だれが、てめえの為だ、寝ぼけるな、煌…んっ」
オレが貶している最中に、煌はいきなりオレの臀部に指をのばして来た。ローションでドロドロに濡れた後腔の肉筒の入り口をつーとなぞってくる。その行為はオレにただただ怖気を与えるだけだった。
「大地。お前、乱暴に自分の指を突っ込んだだろ?少しだけ紅くなっている…」
オレはただただ潤滑剤であるローションを塗り込む為だけに指を突っ込んで奥へと塗り込んでいた。
快感はおろか、気持ち悪過ぎて吐き気を催したぐらいだ。
「触んな。とっとと突っ込んで終わりやがれ」
「期待させといて悪いけど、今日はそこには用は無い」
煌の意外過ぎる言葉を聞いて、オレは思わず身体を反転させてまじまじと煌を見上げる。
まさか、オレの勇み足だったのか?こいつは、アナルセックスでなく擦り合いだけで済む奴だったのか?
そう思うと、見当違いのオレの決意がひどく滑稽だと感じた。羞恥心すら覚えてしまう。
「期待なんかしてねえ。唯の扱きあいならそう言っとけ」
思わず安堵のため息を吐きながら、オレは少し力弱くそうぼやいた。
それすらもしたくは無いが、尻に突っ込まれるよりよほどマシだ。
だが、現実はそう甘くなかった。煌は緩慢な動きで覆いかぶさりながらオレを押し倒し、足の付け根へと手を持っていく。
「勘違いしているようだな。今日はそこでなく、こちらを貰う」
煌はそう言いながらけっして誰にも触らせた事もない、自分ですらほとんど触れない所まで指を伸ばす。
その瞬間、オレは大きく目を見開いた。
オレはその可能性をまったく考えていなかったのだ。
生粋のゲイである煌が、こちらに興味を持つなど…。
「止めろ!そこはダメだ!」
オレには男としての純潔を奪われる事はもう諦め、なんとか決意することができたが、女の純潔を奪われる事は許容出来る事ではなかった。
吐き気がするほどの女嫌いの煌。だからこそ、そこは無いモノとして扱われるはずだと、オレは考えていた。オレにとって忌まわしきモノであるように煌にとってもそうであると…。
混乱する頭ががんがんと警報を鳴らしてくる。
しかし、煌は容赦なかった。
「大地。俺はまだ怪我人だ。だから、手加減が出来にくい。だから選べ。あくまでも抵抗して生で無理やり突っ込まれて、中出しされるか、それとも、抵抗せずにゆっくりと慣らしながらするか。それならコンドームをきちんと付けてやる」
両方お断りだ!と言ってしまいたいが、抑え込まれている状態で、そして煌の飢えた瞳を見れば、どちらか選択しなければいけないのだと理解した。
この無様な身体で妊娠することなど、冗談ではない。可能性は限りなく少ないが、不規則とは言え月のものもあるし、ひそかにした検診では妊娠可能な身体だと言われた事もある。だから、オレは後者を選ぶことにした。
身体の力を抜いた事を見抜いた煌は、甘い笑みを浮かべオレの顔へと覆いかぶさってくる。オレは震える自分の身体を必死に黙らせてそれを受け入れるほかなかった。
「いい子だ、大地」
こうして、オレは自分の身体を煌へとくれてやることとなった。