マリモの憂鬱-マリモ、ドラ○もん希望1
    

 あぁ。このまま、誰とも友達になれずにあと一年半を過ごすのか。

「わびしすぎるやろ〜!おれ〜」

 思わず叫んでしまう。ついでに作成しプリントアウトしたばかりの書類を勢い余って握りつぶしてしまった。

 ああ。なんで俺、ここにいるんだ。本当なら京子ちゃんや菜々ちゃんと一緒に修学旅行に行ってうふふ、あはは〜♪って写真撮りまくっているはずなのに〜。二人とも可愛いからもう彼氏とか出来ていたりするのか?せっかく俺が虫除けになっていたのに!

「修司のあほぉ〜!鬼!変態!」

 怒りが収まらずに、そもそもの原因を貶す。俺はこの時、我を忘れていた。と、言うか今現在、ここが鬼の住み処であることを忘れていた。

 ドンマイ!俺キラーン(星)

「呼んだ?流斗。ようやく、私のモノになる決心ついた?」

 そう言って鬼の住み処…別名生徒会室の資料室に姿を表した美の象徴。
 絹糸かと思わせるまっすぐな栗色の髪。男のくせに肩ぐらいまである長髪。男なら黙ってスポーツ刈りか丸坊主だい!と言いたい。俺はマジで似合わないから違うが。
 そして、切れ長二重に長いまつ毛にすらっと伸びた鼻筋にエロい口元。あえて端的に単語で済ます。それを合わせると、あらびっくり。モデル雑誌ですら中々見ないほどの美形顔の出来上がり。
 もちろん、180を越す体格もモデル顔負けの八頭身。
 わが学園が誇る生徒会長さま、桜ノ宮修司さまであらせられるぞぉ〜。
 俺フィルターにかかれば、ただの悪魔か魔王か狂人にしか見えないのだから不思議だ。

 一層のこと、俺にもその無差別のチャーミングを掛けてくれと言いたい。

「耳でも悪くなったか?あほ修。いい加減、仕事しやがれ。俺がいつまでも我慢できると思うなよ!」

「それはこちらの台詞だよ、りゅう。私は毎日、毎日、お前が姿を消したあの日から探し続けて、ようやく見付けられたんだ。すぐに私のモノだと印を刻みたいのを我慢している私の忍耐力を誉めてもらってもいいと思うが?」

 なんなら、実行に移すが?という副声音が聞こえてきて、全身に寒気が走ってしまった。

 怖いよ〜、おかあさ〜ん。 

(7/12)
  

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