マリモの憂鬱-マリモです。
旧サイトで拍手で書いたものです。
ヤンデレ生徒会長とは幼なじみで、主人公が小学校でさっさと引っ越ししてしまった為に狂愛になって、執念で探しまくりました。という設定。ちなみに主人公は庶民。
「待て〜。マリモ!」
マリモって。俺には篠宮流斗って名前があるんですが。この学校に不本意ながら…そう大切なことなので二度言います。心のそこから不本意ながら転入してきてから二週間。俺の名前をきちんと呼ぶような奴は、ここに引き摺りこんだ鬼とそのゆかいな仲間たちしかいない。
「人気のある神のような方々ばかり侍らかして!」
俺にとってはただの疫病神だがな。
「あれほど熱心で僕たち生徒のことを一番に考えてくれていた素晴らしい生徒会の方々がお前のせいで!」
一番に考えていたら、夜な夜な外出して不良共のボスになんかなってないと思うが?
「毎日毎日部外者のくせにずーずーしくもお前は、僕たちですら入ったことのない生徒会室に入り浸って!」
俺にとっては鬼の住み処でしかないんだが。
「お前に構って仕事しなくなっちゃったじゃない!」
確かに。それは正しい。
「あんたなんか、この学園からいなくなっちゃえばいいのよ」
それは大いに同感だ。気が合うな、チワワ3号。
「今度その鬱陶しい姿を僕に見せたら、お前を退学にしてやる!」
「!!」
俺は、そう啖呵をきったチワワ2号をおもいっきりガン見した。
先ほどまで無言無表情(と言っても内心ではばっちり受け答えしていたが)だった俺の反応に、チワワ三兄弟はビクッとおののく。
「な、何か文句あるっての??」
「本当に?退学?」
「そう!退学よ!どう?嫌なら…」
教室の隅っこで小さくなっておくのね!
そう続けようとしたチワワ1号。だが、俺はその言葉を遮った。
「…いい」
「「「はぁ??」」」
チワワ三兄弟は予想外の俺の反応に絶句している。だが、そんなこたぁ構ってる暇はない。俺はチワワ1号の肩を掴み、頭を下げた。
「頼む!!ぜひともそうしてくれ!してくれるならどんなことでもする。」
「な、なにを血迷ったこと言っているの?」
俺は神にすがる思いで逃げ腰なチワワの制服をわしづかみした。
「お願い!退学にしてぇ〜!」
「あ、頭おかしくなったんじゃあない?」
ぶるぶる震えながらもツンツンとそういうチワワ。だが、その言葉に思わず日々のうっぷんをぶちまいた。
「頭、おかしいって?おかしくなるだろ。俺の立場になってみろ!俺の意志を全く無視してこんな監獄のような高校に転入させられて、こんな汚ならしいかつらとメガネを掛けさせられてんだぞ!お前らが言う神の生徒会長さまに!『外すのは私の恋人になった時。勝手に外したら部屋に監禁して私なしではいられない身体に改造してやる』と脅すんだぞ!こえぇ〜よ。マジ無理だよ。
そもそも生徒会室なんぞ行きたくもねえよ。ただ、これも破ると監禁コースなんだよ。あいつ、俺を全生徒の嫌われもんにする為にわざと仕事しねえし。それに倣って愉快な仲間たちもやらないし。それでもなんとかまわっているのは、寝る暇も惜しんで俺が代わりにやっているからだっつ〜の。あいつ何者?俺にとったら災害?悪魔?鬼畜?代わってくれるなら土下座でもなんでもするよ。ねえ、退学させるか代わるかして?」
俺はノン呼吸で言い切った。
ぜぇぜぇ。
だが、無情にもチワワ三人ともその場から逃げ去っていた。
まってくれ!俺の希望!現実逃避は見苦しいぜ!逃がしてなるものか!
俺はここで退学させてもらうまで付きまとうことを決めた。
だが、その3日後、チワワ三兄弟は自主退学することとなる。
その影には現生徒会長の陰謀があったことを、俺と鬼の住み処の住民どもだけが知っていた。
俺の希望は手の届かないところに行った。結局、俺が脱マリモになったかどうかは秘密である。ってか、間違っても言いたくない。
end
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