「ねえねえアミィ、恋ってなにかしら」
 突然の問いに、アミィは手元のカップから視線を上げた。質問をしてきたルルは、じっとカップの中を見つめている。
「そうね……」
 恋。それは、きっと自身にはまだ縁遠いものだろうとアミィは思う。
 正直に言ってしまえばよくわからないのだが、目の前の親友はそんな答えは求めていないだろう。
 だから、不確かだけれど自分の中にある考えを組み上げていく。
「きっと、すごく素敵なものだとわたしは思うわ。誰かを想うって、とても素晴らしいことだもの」
「そうね」
 ルルが頷く。
「そして、いつかは愛になるんだと思うの」
「愛に?」
 揺れる琥珀を見つめていたルルが顔を上げて、アミィを見る。飴色の瞳の中に映った自身の姿を捉えて、アミィはひとつ頷く。
「恋って、一人でもできるでしょう? でも、愛は互いに想いあっていないと生まれないと、わたしは思うの」
「そう、ね……」
 今度はうーんと唸りだしたルルを見て、アミィは小さく笑った。誰よりも大切な親友は今、恋をしている。突然こんなことを言い出したのも、その影響だろう。
 ルルはその性格から友達は多いけれど、最近は特に仲良くしている人がいる。この頃よく二人でいるところを見かけるから、きっと相手は彼だろうとアミィは思う。
 自分の答えがルルにとって満足のいくものかはわからないけど、これが今の自分にできる精一杯だ。
「ねぇ、ルル」
「なあに、アミィ」
 ぱっと顔を上げたルルに、アミィは柔らかく微笑んだ。
「もしも、あなたの想いが叶ったら教えてね。わたし、応援してるから」
 そう告げた言葉にルルは首まで真っ赤に染め上げたけれど、やがてこくりと頷いた。
 すっかり顔を赤くして俯いてしまった親友を見て、アミィは思う。
 どうかルルの想いが通じて、彼女の恋が、やがて愛になってくれればいいと。

愛になる日を夢みてる
(でもきっと、それはそう遠くない未来)

お題:確かに恋だった



何気に初書きアミィ。女の子同士の会話は書いていて楽しいです。

2009.12/29〜2010.05/12 拍手掲載

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