なまえがかわいくて、しかたない。けど、こんなに夢中になるつもりなんて無くて、最初のうち冷たくあしらッてたから今更かわいがるのも何か気持ち悪ィとか思うの、当たり前だと思うんだけど違うの?





「西くん」





こうやッて笑ってくンのもかわいい。俺にしては珍しく、殺したい、とかそッち方向じゃ無くて純粋に、なまえが服とか見て「かわいい」っていうのと同じレベルの「かわいい」、だと思う。




「歩くの、おせーよ」

「ごめんね、」




ほンと、歩くのは遅ェとは思う。けど、たまに振り向いてなまえの事待つのも、嫌じゃない。たまーに歩幅合わせて歩いてやるけど、そン時もわざわざなまえを歩道側歩かせてやってるから偉いと思う。





「西くん」

「…何、」





わざとなまえの方だけポケットから出している手を、やっぱりわざとなまえの手にぶつける。手、繋ぎたいんだろ?分かってる。けど、俺から手繋ぐとか、マジありえねーから、そこはお前から「手繋いで」って言ってくれよな?俺だって、嫌なわけじゃねェから、さ。




「西くんの手、暖かいね」

「お前の手が冷たすぎ」



こうやッて「なまえ」じゃなくて「お前」ッて呼ぶのも、ちょッと気恥ずかしいから。ちゃんと「なまえ」で呼ンでやればもッと喜ぶッて分かってンのに、バカみてェ。



「うち、寄ってく?」



そンだけでヘンなこと想像してる俺、マジ何なの?まァどうせ、手ェなんて出せねェけど。けど今日はあえて「俺の家、来れば?」とだけ、言ッておくわ。




「お邪魔します」




ちょっと嬉しそうな声色。俺も、嬉しくなる。前までそんな事言ッてる下らねェ小説、はッきり言ッて、吐き気がした。けど、いざ自分がその立場になると許せるモンだなッて、思う。わざわざ自分から誘ッといてパソコン弄ンのも、なまえにもッと「西くん」て、呼んで欲しいから。





「西くん…」





心底構って欲しそうな、そんな声。ああ、かわいい。そんな言葉が出かかるけど、でもダメ。絶対引かれるから。そんな事、決まッてるわけじゃねェけど、わざわざかけるよりは、いい。そろそろ、後ろにいるなまえが諦めて何も言わなくなる頃。こういう時に構ってやるのが、一番堪えるんじゃねェの?




「なまえ」




俯いているなまえの名前をわざと呼ぶ。そうすると、すげー嬉しそうな顔をして、こッち見て、また笑うんだよね。それから抱きしめてやればもう、なまえの顔、真っ赤でさ。ほンと、



「かわい…」

「…うそ、」


あ。言ッた。けどまァ、このタイミングなら全然普通だろ。思わず抱きしめる力を強くした。額を合わせて、なまえの目を見て、それから唇を重ねる。こうやッて、目ェ閉じてる顔も、かわいい。そう思ッて俺も目をとじた。



「あのさァ…」

「なぁに?」



「好き」そんな言葉俺が言えると思うか?頼むから察してくれ。けどまァ、ヒントぐらいなら、あげるけど。




「なまえの事は、嫌いじゃ、ない」

「…そっか」



そう言ッて下向いて笑ッて、やッぱかわいい。ああダメ、押さえろ俺。今は我慢してやるけど、こういう風な笑顔、他の奴に向ける事だけは絶対許さないかンな?覚悟、しとけよ。





END

hydrangeaの黒江さまから相互記念にいただきました!! 西くんかわいい! ありがとうございました!








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