あたしには、人に言えない秘密が二つある。

 ひとつめは、一度死んで生き返って、日夜地球を侵略しようと(?)している星人と戦っていること。

 ふたつめは、クラスメイトであり戦友とも言えるかもしれない西丈一郎くんが好きなこと。





 西くんは、クラスで日々陰湿ないじめを受けている。
それこそ、あたしが自転車に乗ってるとき車にぶつかられて撥ね飛ばされる前から。

 でもあたしはその頃すでに、みんなが言うように西くんのこと、キモいだのなんだのとかは思ってなくて、むしろ綺麗な顔したひとだと思っていた。

 クラスメイトたちの西くんを評した言葉に、どうしても拒否感を拭えなかった。


 だから友だちとの他愛ない話の中で、何かの拍子に西くんに話題が移ると、さりげなく話換えたり「ふーん」って流しつつ「そういえばさー」の合わせ技で乗り切ってきた。
 ミッションでいっしょするようになってからは尚更。

 とはいえ、実際に過激なことするような人たちには何を言うわけでも何かできるわけでもなく。

 結果的にあたしは見て見ぬフリをしてるのと何ら変わりはない。

 それでも西くんは、そんなどうしようもないあたしでも、本当に本当にギリギリの最後の一線では助けてくれる。
 本当はきっと、自分のこといじめてるクラスメイトなんか憎くて憎くて、死んじゃえばいいって思ってるのに違いないのに。

 そんな本当は優しい西くんが好きだった。
 あたしは西くんのこと、何も知らないと言っても決して過言じゃないし、ミッション中に西くんがしてることも知ってるけど、それでもそこだけは人として尊敬できるところだと思う。


「ねえなまえ。こないだサッカー部のヤツに告られてたよね?フッたってきいたんだけど」


 友だちの呼び掛けで、急速にあたしが現実に呼び戻された。

 昼休み。
 給食が終わって、何かすることがあるでもなく、またいつもの友だちとだらだらと話しているとき。


「そうだよー」

「えー何でよー。もったいないじゃーん」


 曖昧に笑っておいた。
 答えたら理由を言わなくちゃいけなくなる。
 少しでも西くんのことを話してしまったら、何でまた西くんへの風当たりがまた強くなってしまうか分からない。

 だいたい、何であたしのことを好きになってくれたのかさえ、予測もできないような関わりしかなかったあの人なんか、どうだっていい。
 全然勿体ないなんて思わない。

「じゃあさなまえ。好きな人いるの?はぐらかしてばっかりなんだから、それくらい答えてよ」


「そうよそうよー不満のブー」とか言って、変顔し始めた友だちを笑って、ふと窓際の後ろから二番目の席を見た。
 彼はめずらしく教室にいて、何をするでなく窓の外を頬杖をついて眺めていた。

 まったくたったそれだけなのに絵になるなぁと感心しながら、あたしは目の前の友だち二人に向かってにっこり笑った。


「今日はいい天気だね」











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