「・・・・・・」

あすかがにぎりしめている紙袋の取っ手が、みるみるうちに、ぼろぼろに朽ち果てていく。比較的乾燥になやまされやすいあすかであるが、今日にかぎってそのちいさな手は、プレッシャーから来る脂汗でじっとりと覆われている。

女子高生がサブバッグとしてたずさえるにはあかぬけないその紙袋、そこにおさめられているのは、おそらくバレンタイン当日には会えないであろう、あすかの彼氏の土屋におくる、ささやかだけど少し背伸びしたおくりもの。

ドブ板通り。
横須賀街道をはさんで建設途中の低層ビルを背にしたあすかが、これから猥雑になってくるだろう夜の入り口、横須賀を象徴する、アメリカと日本がまざりあう町を、ある種の覚悟とある種の憤怒、そして悲しみを一心に抱えて、見つめつづけている。

この街のむこうがわに、あすかは先ほど、良好なタイミングで、会いたかった彼氏のすがたをみつけたのだ。

土屋は概ねこの通りにいる。日頃、土屋のほうからあすかを迎えにきてくれる。それもいつだって、あすかが会いたいタイミングを絶妙に押さえて。
たまには、あすかからそれを実行してみるのもいいかもしれない。

もしかすると、それが仇になったのか。


たった16年の人生で、あすかなりに誠実な気持ちとあすかに真摯な経験をつみかさねてきた。その結晶のように、渾身の勇気をふりしぼってあすかがつかんだ人が、土屋だった。
だけれど、頑張ることを繰り返してもどこか中途半端だった。
自分なりに努力は重ねてきたつもりだけれど、えらんできたものに自信ももてやしない。
でもそんなあすかが、なけなしの勇気と自信のもとに手にしたのが、土屋だ。

それほど、土屋はあすかにとって信じられるひとだった。




そんな土屋が、いま。


宵の口、ドブ板通りで。



とてもきれいなオンナの人と寄り添っている。


土屋の瀟洒なスーツ姿。本人は、あの人にくらべると・・・なんて謙遜するが、あすかからみると、およそ5歳は年上にみえて、ただでさえ大人びた土屋を、ますます洗練へみちびく。そんな垢抜けた土屋は、ドブ板通りにすんなりとけこむ。平穏にくらすあすかにとって横須賀は穏やかな街にすぎないと感じているけれど、横須賀にちらりとのぞく異国の影や、暴力の影。土屋は、影とひなたを器用に行き来している。

この通りに土屋がおりたてば、彼が瞬時にまとうのは、ここに生きて、そしてあすかには器用に隠し続ける、横須賀の影。


横須賀の夜を洒脱に、そして小器用な暴力を駆使して生きる土屋のそばに、あすかとは違う女の人が、寄り添っている。
根元が少し黒い金髪。ふしぎとだらしなさなんてなくて、真っ白の肌に金色と黒がマッチしている。個性的なショートカットが、ととのった顔立ちをあざやかにひきたてて。
肩口を剥き出しにして、そしてテカテカと輝く記事のワンピースは、彼女のほっそりとした体をゆったりと覆っていく。

そして、なんと、その女性の痩せた体を守るのは、


土屋のジャケットだ。

あすかだって、あんなこと一度もしてもらったことがない。
のぞんだことやあこがれたことは取り立ててなかったけれど、確かに絵になり。今まで思いつかなかったことが不思議であるくらいだ。


「・・・・・・」
このまま問題を放置しておくと、今日のあすかはきっと、まともに眠れないだろう。
そうこうしているうちに、土屋と楽しげに会話しているオンナの人は、土屋の体に遠慮なくふれる。土屋の痩せた首筋を確かめる手つき。そこに、いつだったか、あすかは真っ赤な痕を不器用につけた。あの痕はきっと、もう消えている。一方、器用な土屋があすかにのこした痕は、あすかの左胸の上部あたりで、いつまでも消えないのだ。土屋のたばこくさいくちびるが、あすかのことをたどってくれたこと。土屋の骨張った美しい手が、あすかにそっと触れてくれたこと。もう、ずいぶん前のように思える。

あすかの日常の一部であったはずなのに、もはや霞のように懐かしい。
一度ネガティブ思考にとらわれてしまえば、頭の切り替えがけして得意ではないあすかは、そのまま一直線だ。

あすかが、軽く、鼻をすする。
顔のおくにツンとしたものがこみあげてきた、
そのとき。

あすかの耳元を、かすかなたばこの香りが這った。



「あれぁな」
「えっ!?」

異様な清潔感のあと、つよく漂うコロンの香り。

あすかの飾り気のない耳元を、どこか爽快な吐息がなぞった。

あすかの手元から、紙袋が落下する。割れたり壊れたりするシロモノではないそれは、どぶ板の入り口にことりと落下して押し黙っている。
あすかの手は、とっさに耳元を覆った。

あすかの耳元をそっとつつんでくれる土屋の声、吐息。彼のものとはちがう、どこか高潔な声と息が、まるであすかのことを、そっと支えてくれるようだった。



耳をおさえたあすかが勢いよくふりむくと、あすかの赤毛が、ストライプのスーツにぱさりとふれて跳ねた。


西日にてらされていたあすかの体を、大きな影がそっと覆った。


「はっ・・・!!?!?あ、あの・・・!?!?」

耳元を手で思わず覆ってしまったあすかが、くるりと振り向くと、

そこには。


あの夏、海辺の公園で出くわした、ストライプのスーツをまとった、背の高い青年。


緋咲薫。

土屋の使えるあるじが、いつのまにかそっと控えていた。きっとあやつっているであろう単車の音もなにもなく、雄大な体が、あすかの背後に、濃厚な香りとともに現れていたのだ。



このドブ板を支配する横須賀の雄、緋咲薫の声が、あすかの耳元をそっと通りすぎたのだ。


「そ、そのせつは・・・!?!?え、えっと、」

それなりに恵まれた頭を回転させて、あの夏得た情報を適切に分析し、ここはきっときちんと挨拶をかわしておかなければならない場面だ、そんな結論をみちびきだしたあすかが、この場にふさわしい言葉をさがすのだが、耳元をたどった艶やかな感触、そして、あすかの日常のなかでは突出して異質な容貌をもつ特別な青年を前にして、あすかの口元はまともに言葉をつむぐことがかなわない。


「あ!!え、えっと、土屋くんの・・・・・・」
土屋くんの・・・・・・、


そういえば、土屋のなんなのか。

あの日のことは、あのまま曖昧になった。


「ひ、ひざき、さん!!」

あすかのハスキーボイスが唐突に緋咲のなまえを叫んでひっくりかえったとき、あすかの整ったくちもとが、緋咲の大きな手でそっと覆われた。

その手は、あすかの健康的な小麦肌の寸前で、そっととまる。

あすかが負っていたプレッシャーすべてが、まるでその大きな、艶やかな、残酷な手に、すべてすいこまれていくようだ。



そして緋咲薫は、覚る。

土屋は、夜と昼をあいつなりに器用に生き分けているようだ。

あっさりと平静をうしなってしまった少女は、やはり、夜の世界で土屋に寄り添うような子ではない。
土屋が、ひとりの人間として、この街にいきる人間として、いつか夜の世界から帰るとき、あの男なりに器用な能力とこの街で鍛え上げた胆力で現実と向き合わなければならない日がきたとき、きっとこの少女が、あいつの助けになるだろう。


緋咲にあっさりと支配された女の子。彼女の不安をいっそうやわらげるために、緋咲は、折りたたんでいた体を元にもどした。
緋咲のそばにいるオンナたちのなかで、この子は最も背が高かったのだ。優理は、リッタークラスの単車をあやつるには少々こころもとない身長であった。そして、緋咲の大切な少女は、とくべつ小柄だ。土屋の恋人は、みたところ160センチなかばか。緋咲が体をかがめると、健康的な耳元をむやみに刺激してしまったようだ。

あすかの口元から、緋咲の手がゆっくりと離れていく。


その手につられるように緋咲をみあげたあすかが、緋咲の言葉を、落ち着いて待っている。



「あれぁな」

緋咲が、すこしのどをととのえる。

石壁に左手をついて、雄大な体格の緋咲が、さながら、ほっそりとしたあすかのことをガードするような姿になっているが、あすかが悟ることはない。ちいさくうなずくあすかを、穏やかに鎮めてやるために、緋咲がつぎの言葉をつむいだ。



「相賀のねえちゃんだよ」


緋咲が、真下で己をみあげるあすかの表情をじっと確かめる。
そして、この情報だけでは。


「相賀くんの、おねーさん・・・、ですか・・・・・・」

もう一度、土屋のことを振り返ったあすか。彼女の不安をやわらげることは、まだかなわないようだ。


相賀に姉がいるなんて、あすかはひとつも知ることはなかった。そういえば、あのまんまるの瞳は、相賀のおもかげがあるかもしれない。技術力にみちたアイメイクがほどこされているあざやかな瞳。土屋とずいぶん話がもりあがっているようだ。あすかも同級生のよしみとして土屋と語り合う話題には尽きないけれど、ときおり、話の流れが情けなくとまってしまうこともある。でも土屋は、そんな静けささえ、土屋をもてなせないあすかの不器用さすら、受け容れてくれる。


「相賀くんに似てて、きれいですね」

異様に冷静なものの言い方に、緋咲は、問題をどうしても解決したい粘り強さをあすかにみる。この性根の深さが土屋にもほしいところだ。土屋はどうしてもあきらめがよく、そして骨太でありながら軽薄な性根はいなめない。教育を放棄したからであろうか。この少女から、土屋が謙虚に学ぶことがあればよいのであるが。

そして、あすかのその言葉への労りは、緋咲の役目ではない。

そのかわり、緋咲が知る事実を、彼女へ淡々と伝えるのみ。



「相賀の姉ちゃんがよ、妊娠してんだと」



とたん、あすかの細い肩がぴくりとはねあがり、冷静な気色で土屋を観察していた瞳に、みるみるうちにみずみずしい色が戻ってくる。すこし呆れたためいきをついた緋咲に、たしかな安堵が芽生えた。緋咲のしなやかなひとさしゆびが、緋咲自身のうすいくちびるにあてられた。静かにしたほうがいい。そのサインを素直にうけいれたあすかが、つとめて小さな声で、納得の声をもらした。


「あっ!!そ、それで・・・・・・」

土屋のスーツは、相賀の姉のことをいたわっているあかし。
おもい荷物ももたせない。

「そうなんだ・・・」

赤いリップをほどこしたあすかの口元から、ひとりごとじみたためいきがもれてくる。

そしていつしか、あすかの耳元にふいにあたえられた刺激は、さっぱりと消えている。
たとえば満員電車で予期せぬ刺激を無理矢理あびせられたとき、あすかは一日中その邪気にみちた感触になやまされることがある。そんなストレスを土屋にうちあけてみれば、親身になって怒ってくれたこともある。
あすかの耳に、ねばついた感触はひとつものこらない。


土屋と相賀の姉の会話は、そろそろ終盤をむかえそうな気配だ。
あすかが、背中で控えてくれている人をふりかえる。


「あ!あれ!?!」

礼を伝えようと思ったのだけれど。

濃厚なかおりだけのこして、あすかに事実だけをつたえて、適切な沈着を与えてくれたあの人は、何処にもいなくなっていた。
あすかにとって、あの青年は非現実の象徴だ。夢のような出来事だったけれど、この濃厚なコロンのにおいは、あすかにとって、紛う事なき現実。


もう一度ドブ板を確かめてみると、案の定、ふたりの姿が消えている。
そろそろ夜のはじまり。体も冷えてくる時間だ。
今日はあすかも、人の流れに沿って、この夜から自分の場所まで戻ったほうがいい。
すんなりと選べたあすかは、落としてしまったおくりものを拾い上げて、足取りには軽快さが無事にもどった。





「小春」
「なんですか?」

緋咲の部屋のCD棚をうきうきと鑑賞していた小春が、すなおな調子でふりむく。くっきりとしたクリーンな瞳が、緋咲のことをまっすぐみつめた。

「おれがな」
「はい」

ちょこちょことすり寄ってきた小春の腕をかるくひいてしまえば、小春にひとつの負担もあたえずに、小春の軽い体は緋咲の腕のなかにおさまった。

愛らしい声で軽い悲鳴をあげた小春と向き合う。

まだ、さっきみつけたお気に入りのジャケットにプリントされていた名前をおぼえていないのに。
小春の集中力はあいまいなまま、緋咲にみちびかれるまま、簡単に緋咲の腕のなかにおさめられてしまった。


ひとりがけのソファにしずみこんだ緋咲にぎゅっと抱きしめられた小春が、呼吸をひとまずととのえながら、緋咲の言葉のつづきを促す。

「・・・・・・緋咲さんが?」

緋咲のそばにいれば、こんなことはよくあることだ。
緋咲の胸元にちょこんとおさまることにあっさりと慣れた小春が、もったいぶっている緋咲のことばを待った。


「しらねーオンナとよ」
「・・・・・・・・・・・・おんなの人・・・・・・」
「ふたりでいたらよ、どーする」

緋咲のその問いかけは、いたずらにすぎて、そしてあっさりしたものであった。
小春を試す意図などなかった。
生来、米国の文化に触れることが緋咲の日常そのものであった。舶来の習慣や思考は緋咲のなかに根をはり、所作や行動、癖ににじみでる。緋咲の自然な仕草や気質は、不特定多数の女性を色めきだたせた。容姿性分立場相応に、周辺にオンナが絶えなかった緋咲。育ちに基づいた行動が、別れや混迷を引き起こしたこともある。

唯一、平穏な距離をとりながら人間同士で付き合うことがかなっていた優理も、しばらく連絡をとっていない。土屋の彼女との短いやりとりは、そういえば、小春が傍に寄り添うようになって以降めずらしく、小春以外の女との会話だった。


そうして、緋咲の思考がたわいのないものと化していたころ。

「・・・・・・・・・」

緋咲の何気ない問いかけに、根を詰めて考え込んでいた小春が、不安いっぱいの瞳で緋咲をみあげた。その濃密な憂慮の気配に、緋咲が軽くおののいた。


「・・・・・・いやです・・・・・・」

冗談であれ、これは己と小春にとって無意味な問いかけであったようだ。

「小春、わーったよ」
「・・・・・・知ってる人かもしれないけど・・・・・・」
「もーいーからよ」

状況を必死で仮定し、納得させようと努力をこころみている小春が、質のいいシャツ越しに緋咲の胸元にぐりぐりと額をおしつければ、いつもよりすこしおさえめなかおりが小春のことをつつむ。そんな小春の背中を、緋咲があたたかな手つきで撫でた。

小春は、緋咲の公正な優しさが好きなのに。そんな信念を源として、小春にも優しさが与えられているはずなのに。
緋咲にとって特別な優しさ。小春にとって、フェアな優しさ。
でも、小春は、緋咲に、小春のことだけみていてほしいのだ。とっくにそうであることはつゆしらず、小春は緋咲の腕のなかでそんな願いを続けていたとき。


ふと、ある日のことをおもいだし、小春をつつむ緋咲のうでを、マイペースにほどいた。


「あっでも」

突如ペースをとりもどした小春をものめずらしそうに眺めた緋咲が、小春の言葉に耳をかたむける。


「ひざきさん、前やきもちやいてましたよね?」

かるく身をひいた緋咲に、小春が追求をつづける。

「私、たばこ買っただけなのに、なんか、おこられた気がする」
「・・・・・・怒ってたか?」
「怖くないんだけど、あのときの緋咲さん、ごきげんじゃなかった」

あの日の出来事を詳細にたどろうと思考をはじめた小春を、うやむやにごまかすように緋咲がだきよせる。すこしだけ思い出してしまった小春の心に、かるい苦みがよみがえった。

「私、今も男の人苦手です・・・・・・」

小春のからだをそっとなでる緋咲の手が、とくべつに慈愛をおびはじめる。
緋咲の残忍な手は、この世で、小春たったひとりだけ、いたわる。

「緋咲さんが、すきなんだとおもいます」
「あ?」
「男の人とかじゃなくて、緋咲さんがすき」
だけどあの時はー・・・・・・。

もごもごと蒸し返しはじめた小春の愛らしい話をなかば夢うつつで味わいながら、緋咲は、休日の午後のあたたかなまどろみ、夜がはじまるまえのささやかな秘密の時間に身をしずめてゆく。





「あ、ちゃんと合うね!」
「これたけぇぞ・・・?どうしたの?」
「冬休み、バイトしたの。バイト代全部はたいちゃった」
「バイト!?いつやってたのよ」
「だから冬休みだってば。土屋くん、忙しそうだったじゃん。そのあいだにやったの」

すこし気の早いバレンタイン。甘い物全般をさして好まない土屋のためにあすかがおくったのは、ベルトだ。

エンポリオアルマーニ。
土屋の愛用するブランドのアイテムである。

土屋とて、このイタリアの高級ブランドでスーツを統一すれば資金は尽き果てて、小物はさすがに揃い兼ねていた。かねてより気になっていたアイテムのひとつだ。いそいそと装着してみせた土屋に、あすかは素直に感嘆の声をあげた。土屋の痩身をますます映えさせたからだ。

「かっこいい!」
「なんか機嫌いいよな?」
あすかぁいつもいいけどよ。

つとめておちついた態度をとりながらも、土屋は、そもそもシンプルに高級なアイテムを手にしたこと、そして、彼女からのすなおなほめことばに有頂天となる心根をおさえきれない。

「バイトってよぉ、男いただろ」
「男?社員さんにはいたけど、パートとバイトは女子ばっかりだったよ」

あの日みた光景は、あの日あった人は、あの日おしえてもらったことは、あすかのなかからすっかり吹き飛んでいた。あっさり解決したことだったのだ。

そして、土屋から、こうしてプレッシャーのかからぬ範囲で、軽くくすぐられるような嫉妬心をあびること。それは、お互い、当たり前の感情だったのだ。

「ガッコにもいるのに、男子。だけどあたし、めんどくさそーにみられるのかなあー。ぜんぜんモテないんだよね」
ガッコ、可愛いコいっぱいいるしね!

土屋は、ベルトがおさめられていた瀟洒な箱を丁寧に片付ける。
慣れた手つきでたばこをとりだし、ととのった口元にさしこみながら、あすかのその言葉に一抹の安堵を覚えた。

そして、土屋が切りだしてた会話。
その話題は、あの日、緋咲から伝えられたことであった。

「そーいやぁよ、相賀、ねーちゃんいんだよ」
「知ってるよ!」

あすかのさっぱりとした言葉に、土屋の口元からぽろりとたばこがこぼれおちた。

「あ?そーなんか?」

土屋の口からこぼれたたばこを、あすかがひろいあげた。
もう一度土屋の口元にそっとさしこんで。
今度は、穏やかに。今度は、平穏に。
あすかは土屋に、愛おしい噺の続きを促した。

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