( 思考回路 )



嗚呼、今日もあなたの声は素敵。


整った顔と非の打ち所のないスタイルがあるだけで充分なのに。


そのきれいな顔についた唇から発せられる低く時に艶っぽく、男を感じさせてくれる声は完璧に素敵。



神様、この人のこと贔屓しすぎじゃないですか?


どれだけいい男に仕立てたかったんだ。


素敵要素詰め込みすぎだから。



「なぁ、ヒロインちゃん…」

「…」

「ヒロインちゃん」

「…へ?」

「ヒロインちゃん聞いてる?」

「は!」


しまった、聞き惚れ過ぎてて、話の内容など全く頭に入ってきていなかった。


聞こえてるのに理解できないの。


サンジくんの声は思考回路までも塞ぎに来るんだ。



「はぁー…、最近のヒロインちゃん、おれの話ちゃんと聞いてくんねーよな」

「…ごめんなさい」

「おれのこと嫌いになっちまったのかい?」

「え!?まさか!好きだよ、好き!!大好き!!」


「クク、そっか、それならよかった」

「はい、大好きです」


そう言えば優しい微笑みをして私の目をじっと見つめてくれて。


それから大きくてきれいな手が伸びてきて、私の顔の横にある髪を耳に掛けた。


見つめられながらそんなことをされれば、余計に何も考えられなくなってしまうっていうのに。


やっぱり、神様!この人のかっこよさは罪ですよ!!



ドキドキし過ぎて当然思考は塞がれたままで、こんなことをされる意味を考える余裕もなかった。


されるがままでいた。



するとその時憎い程にきれいな顔が近付いてきて。


耳許で艶めかしくこう囁いた。



「おれもヒロインちゃんがクソ好き」

「!」


だ、だ、だ、だめだ。


本当にもうこれ以上何も考えられない。


その素敵な声で耳許で囁くなんて反則だよ!



「だから、ヒロインちゃんがおれの話もちゃんと聞いてくんねーと、寂しくなっちまうよ」

「うう、ごめんね、でもねサンジくんの声がかっこよすぎるからいけないんだよ」


「クックックッ、んじゃリハビリだな」

「え?」


「これから毎日耳許で愛の言葉を囁くから、ちゃんと聞いて、ね?」

「!!」


愛の言葉なんて……!


サンジくんの素敵な声で愛の言葉を言われるなんて、耳許で言われなくたってクラクラするっていうのに!!


ずるい、ずるい、この人本当にずるい。



「サンジくん…これ以上私から正常な思考を奪わないでください」

「フ、ヒロインちゃんがもし正常じゃなくなっちまったとしても、間違わねぇようにおれが見ててあげるから大丈夫だよ」

「!」


なら…正常な思考なんていらないかも。





恋患い。




正常すらいらないと思わせることが既に正常ではないけどね。



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