( 惚れ薬 )



「ねぇ、シャンクス」

「ん?なんだ?」


「もしもね、もしも惚れ薬ってあったら使ってみたい?」

「…フ、いきなりどうした」


「深い意味はないんだけど、シャンクスだったらどうするのかなと思って」


“深い意味はない”なんて言ってるがおれの返答次第でおまえは表情をころころ変えるだろう。


おれの些細な一言でそのかわいい顔をとびきり喜ばせることもひどく落ち込ませることもできることを知っていた。



「惚れ薬か…おれは使いたくはねぇなぁ」

「どうして?」


「惚れさせるまでの過程も楽しみてぇだろう」

「わ!自信満々!!好きになってくれるのが前提って」


そんなこと言いつつヒロインだっておれのこと好きになってるじゃねぇか。


「あー…だが、今なら少し使いてぇ気もするなぁ」

「使いたい子、いるんだ…」

「ああ、鈍いんだ、そいつ」


ヒロインは傷つきみるみる悲しい顔になった。


すまんな、ヒロイン。


今のはわざと言ったんだ。


女の影を匂わすとおれを想い傷付くおまえにも愛を感じて。


傷付けたいわけじゃないんだが、どうかしてるな。


「ヒロインはどうなんだ、あったら使うのか?」

「えー、どうだろう、使いたいけど、やっぱ自力で好きになってもらいたい…かな」


「へぇ、そりゃあ妬ける」

「え?」

「ヒロインにそんなふうに想われてる男がいるなんて妬ける」


「…え?どういうこと?」

「はっはっは…、ヒロインは自分のことになると本当に鈍いなぁ」


「…え?え!?え!!?シャンクスさりげなく告ってる!?」

「もうずっと前からヒロインが好きなんだがな」

「えええええ!?そうなの!?」


おれからすれば逆になんで今まで気が付かなかった不思議だよ。


惚れ薬なんかなくたって、おれはもうずっと前からヒロインしか見えてねぇのに。


「だっはっは!ヒロインは本当にかわいいなぁ」

「シャンクス…もしかして私の気持ちも知ってる…?」


「ああ、おれのことが大好きなんだろう?」

「!!てことは今まで知ってて意地悪言ったりしてたんだ!?」


「かわいくて、つい、な」

「ひどい!シャンクスのバカ!」


膨れるヒロインもかわいい。


「そうは言っても嫌いになんてならんだろう?」

「それはそうなんだけど…」


きっともうお互いにどうしようもないくらいにはまっているに違いない。


おまえの言動や行動の一つ一つに愛を感じるから。


おれの言動や行動の一つ一つに喜び悩み一生懸命なおまえが好きで仕方ないんだ。


そしておまえはそんなおれが好きで仕方ないんだよな。





恋患い。




惚れ薬なんてなくても、おまえを夢中にさせる術は持ってる。



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