( 惚れ薬 )



「はい、エース隊長!ご飯!!」

「おう、いつもわりぃな!ヒロイン」

「ううん、食べてね〜!って私が作ったんじゃないけどねー」


だが、ヒロインが配ってくれるだけでいつもと変わらねぇメシも数倍うまそうに見える。


ヒロインがこの船に乗りメシを配ってくれるようになってから、おれはこの時間が楽しみで仕方なかった。


メシの時だけじゃねぇ。


ヒロインと関われる時間が楽しみで楽しくて仕方なかった。


どうしてこんなふうになったのか。


今度はマルコとサッチのところへメシを運ぶヒロインを無意識に目で追っていた。


「ヒロイン、今日もありがとよい」

「いいえ、食べてください」

「ヒロインは今日もかわいいなあ〜!」

「またまた、サッチ隊長、誉めてもなんにも出ませんよ」


あ…くそ、サッチの野郎、ヒロインの頭撫でやがった…。


なんだ、心が痛ぇ。


さっきまで幸せだったのに。


サッチをぶっ飛ばしてぇほどに苛ついてる。



「くすくす、エース隊長、顔怖い」

「…ヒロイン!!」

「ここ座って食べてもいいですか?」

「!!おう!食え食え!!」


ヒロインが傍にいてくれるだけで、さっきまでの苛立ちはあっという間にどこかへ消えた。


だが他の野郎がヒロインに話しかけヒロインの笑顔がおれ以外に向けば、その度に心はずきずきと痛んだ。


どうしてこんなに一喜一憂するんだ…。


ヒロインが輝く笑顔でメシを配ってくれるようになってからだ。



…は!もしかして!!


「……ほれぐすり………か?」

「ん?エース隊長、なんか言った?」


「ヒロイン!おめぇおれのメシに薬盛ってるんじゃねぇの!?」

「…へ?なんで私がエース隊長にそんなことしなきゃならないの?」


「じゃあなんでおれの胸がこんなに痛むんだよ?」

「エース隊長、胸が痛いの?大丈夫?」


真顔で心配されれば尚更締め付けられるおれの心。


こんな想いは今までしたことがねぇ。


惚れ薬でも入れられたって方がよっぽど合点がいく。


「ああ痛ぇ、ヒロインがメシを配るようになってからいつも痛ぇ」

「くすくす、そんなこと言われても私なんにもしてないのに」


「責任、とれよ」

「えー?どうすればいいの?」


「そうだな、じゃあまず一発ヤラせろ」

「え!?なんでそうなんの!?欲求不満なだけ?」





恋患い。




処方箋はおまえだけ。


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