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「はい、ヒロインちゃん、ココア」

「わーい、ありがとう、サンジくん」

「熱ぃから、やけどしねーように気を付けな」


そう言ってにっと笑うサンジくんから、ホットココアを受け取る。


サンジくんもそのまま私の隣に座りタバコを吸い始めて、甘いココアの香りと隣のサンジくんでとっても幸せ気分。


そんな甘い幸せな空間に心満たされながらカップに口を付けた。



「…っ、あつ」

「だから熱ぃよって言ったのに、大丈夫かい、ヒロインちゃん」


サンジくんは心配そうな顔で私を覗き込んでくれた。


うかうか幸せになんて浸ってるから、サンジくんに言われたにも関わらずやけどなんかしちゃうんだ。


このくらいの熱さじゃ大丈夫だと思ったんだけどな。



「はぁ、油断してしまいました、でもほんの少しヒリヒリするだけだから大丈夫だよ」

「ヒロインちゃん、舌出して見せてごらん」

「え?」

「心配だから、舌出して見せて」


舌出すって恥ずかしいなと思いつつも、サンジくんの顔が真剣だったから、控え目に舌を出した。


するとサンジくんは満足げに口角を吊り上げにやりと笑い、吸っていたタバコを灰皿に押し付けた。


「…?サンジくん?」

「ヒロインちゃんクソかわいいな」

「うん?……っ!!?」


その瞬間サンジくんの顔が近付いて来たと思ったら、唇と唇が重なり舌を絡めとられた。


…なんで!?


えええ?なんで?


けれどサンジくんは驚いている私を無視して甘いキスを続けている。


でもそれは、やけどでちょっとヒリヒリして痛いけど、そんなの気にならなくなっちゃうくらい甘いキスだった。



ああ、どうしよう、わけわかんないけど…。


大好きなサンジくんとキスできることは幸せには違いない。



「んっ…んー、はぁ…」


だけどだんだん苦しくなってきてしまい、サンジくんの胸元を軽く叩いた。


するとサンジくんは優しい顔で私を見つめながら、唇を離した。


そして再びにやりと笑い、何事もなかったかのように新しいタバコに火をつけた。



え?


なに、その何もなかったかのような余裕。


キスしたのに。


しかも結構激しいやつ。


なのになんでそんな涼しい顔?


ていうか、なんでされた私がおいてきぼりな感じなの?


「はぁ…はぁ…、…へ?…え?」

「クックック、」

「えー…?何を笑ってるのですか、サンジくん、…今何した」

「いやぁ、…うん」


うん、て。


うんで済むような話なの?


サンジくんにとったらうんで済むような話なのか。



「あ、ほら、ヒロインちゃん、ココア」

「…え?」

「今度は冷めてきちまう」

「へ?…あ、うん…」

「クク、うん」





うん。




キスされたのに、うん、で済まされちゃうような私。


お話にもならな…



ならないわけないよね!?


だってキスされた!


ちゃんと話しようよ!サンジくん!!



「サンジくん!」

「うん?あ、ヒロインちゃん、舌痛ぇの平気?」

「え?…うん、それは大丈夫だけど…サンジくん!なんでキスしたの!?」

「フ、わりぃ、ヒロインちゃんがかわいかったから、つい」

「つい!?ついで許されるの?」

「うん、だってヒロインちゃん、おれのこと好きだろ?」

「え…?……うん、」

「うん、おれもヒロインちゃん好きだし、問題なくね?」

「え!?そうなの!?」

「クク、うん、特別」

「特別…?」

「うん、こんなことするのは君にだけ」

「そっか…うん、そうなのか」

「うん、問題ねーだろ」

「…うん」

「うん」


やっぱり、お話にもならない。



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