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初めて見た時、なんて美しい金の髪なんだ…!と見惚れた。


いや、周知の通りおれも金髪なんだが、やっぱり自分のものを見る感覚とは違う。


君は本物の天使に見える。


天国ってのはヒロインちゃんみてぇなレディがたくさんいるとこなんだろうなと思う。



そんな天使におやつを運びに来たら芝生の甲板で手すりに肘を置き海を眺めていた。


キューティーブロンドが陽の光を浴びてキラキラしてる。


まるで童話の中の一ページだ。


「あ、サンジくん」

「!」


あまりの美しさに見とれていると気付かれ、にっこりと微笑むヒロインちゃんに先に声を掛けられた。


整った顔にきれいな金髪がマッチし、本当に美しい。



「サンジくん?どうしたの?」

「いや、本当にきれいだなと思ってよ」

「ふふ、髪?ありがとう」


見る度にきれいな髪のことを褒めているから、ヒロインちゃんも自然とお礼を言うようになっていた。


そんなヒロインちゃんの髪にそっと触れ心を満たした。


一度褒めちぎりながらどさくさに紛れて触れてみたことがあった。


そしてその時に怒られることもなく、しかもヒロインちゃんは嬉しそうにしていたから。


それから自然ときれいな髪に触れるようになったんだ。



「髪だけじゃねーよ、ヒロインちゃんがきれいなんだ」

「ふふふ、ありがとう、サンジくんの金髪も今日も素敵だよ」


にこっと微笑むヒロインちゃんにおやつのプリンアラモードを渡した。


ヒロインちゃんは丁寧にいただきますと言い手すりの上に器を置き、海を眺めながらスプーンを口に運んだ。



「サンジくんは?食べないの?」

「あー…つい、見とれちまって」

「くすくす、変なの」


キラキラ輝く水面と君の髪が美しく。


穏やかな顔して色とりどりのフルーツの乗ったアラモードを口に運ぶヒロインちゃんを見て、本当に天国にいる心地になれた。



「まじで天使みてぇだよな、ヒロインちゃんは」

「そんなことないって」

「いーや、そんなことある、もしくは童話に出てくる姫か」

「サンジくんだって王子様みたいだよ、その金髪」


ああ、それクソいいな。


ヒロインちゃんのプリンスになれる資格を持っているようで、自分の髪が誇らしく思えた。


おれ達ならこのまま童話の世界に入って行けちまいそうだ。


「白馬、似合うよ、サンジくん」

「ヒロインちゃんもドレスやティアラが誰よりも似合うよ」

「本当?嬉しい」


ドレスやティアラや華やかな宝石で着飾ったヒロインちゃんは想像しただけで、眩しすぎるのが分かる。


そのブロンドにはそういうアイテムがすげぇしっくり来るんだ。



「あー…そうだ、今度島に着いたら買おう」

「え!?白馬!?飼うの?さすがプリンス!」


「クク、違ぇよ、ドレスやティアラ」

「へ?」

「ついでにガラスの靴も買おう、そしてそんなプリンセスはおれのキスで目覚めさせてあげる」

「ふふ、サンジくん、それ色んなプリンセスがごちゃ混ぜだね」



いいんだよ、それで。


だってどの童話の中のプリンセスよりも、君が一番プリンセスらしいから。



それからそんなプリンセスなヒロインちゃんをエスコートするのは王子のおれしかいねぇ。


手を繋いで森へでも行くか。


そして森の木陰で寝ちまうヒロインちゃんに目覚めのキスを。


まじでヒロインちゃんにはそんなシチュエーションが似合うんだよ。



…だが、手っとり早くこの甲板でも構わねーな。


今だってここで天国のような心地になれたんだから。


いつもはルフィやチョッパーが遊んでいるそこのブランコだって着飾ったヒロインちゃんが座れば、確実に童話の世界になるだろう。


やっぱり君のブロンドは最強だ。


見慣れた景色も君に似合うものに変えちまう。



ヒロインちゃんの横でおれも手すりに肘をつきながらそんなことを考えていた。


するとヒロインちゃんの熱い視線を感じた。


…おれとしたことが傍らのキューティーブロンドに妄想を膨らませ過ぎて、ヒロインちゃんにつまんねぇ思いをさせちまったかな。


プリンス失格だ…。


反省し、悪かった、と謝ろうとした時、ネクタイが捕まれいきなりぐいっと引っ張られた。


「!?」


…そしてちゅっと音を立てて唇にやわらけぇ何かが触れたんだ。


唇…?


唇だったよな!?


つーことはヒロインちゃんの唇か!?



「え…?え?え!?ヒロインちゃん…今の…!?」

「くすくす、目覚めのキスだよ」

「え!?」

「妄想の世界ばっかりじゃなくて、目の前の私をちゃんと見て?プリンス」

「ヒロインちゅわん…!!」



ぬぉぉぉぉぉ!なんて大胆なんだ!


こんな大胆なプリンセス、見たことねぇよ!



「くすくす、ごちそうさま」


ヒロインちゃんはいつの間にかアラモードも食べ終わり、未だ呆然とするおれに爽やかな笑顔を残し去って行った。


見送る背中には天使の羽が見える。


やっぱり、その髪、最高だよ。





キューティーブロンドに魅せられて。




「ヒロインちゅわ〜〜ん!!待ってーーー!」

「なあに?プリンス」

「でゅふふ、おれもう一回妄想世界に飛ぶから、また起こしてくんねぇかな!?」

「えー?じゃあもう一生寝てなよ」

「がーん!!おれのプリンセス冷てぇ!」

「ふふふ、おやすみ」

「ひでぇ!が、そんなヒロインちゃんが好きだーーー!!」



君がいれば現実は、童話よりも幸せな結末。





▼フリリクで書かせていただきました。


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