「コウちゃん、聞いた?夕べ二係が出動した事件」

「ああ、廃棄区画で何かあったらしいな」

「そう、それのこと、普段だったら廃棄区画で起こることなんていちいち口出ししてらんないんだろうけど、昨日の打ち上げ花火はさすがに…、」

「目立ちすぎだ」

「でしょー?んで、出動したらもう撤収した後だったみたいなんだけど、夕べ結構大規模な祭りをやってたんだって、商店街一丸となって」

「へぇ、結束力があるもんなんだな」

「やっぱコウちゃんも思うよね、俺も思ったから“廃棄区画の奴らって仲いいんすね”って言ったの、そしたらギノさんに“妙な所に感心するんじゃない”って怒られてさー」

「とは言えやはり統率者でもいない限りまとまるとも思えんが…」

「うん、だから二係も局長の指示でとりあえず主催を探す為に聞き込みしたらしいんだけど」

「あそこで全員にドミネーター向けて執行していくのは無理があるしな」

「そうそう、でね聞き込みで分かったのは、その祭りも花火もどっかの男が自分の彼女を喜ばせたくてやったらしいっていうことで、」

「…そんな動機か」

「ねーびっくりだよねー、それで打ち上げ花火まで上げちゃうんだもん」

「理解に苦しむな…」

「だから、女の子ってそういうことされると嬉しいのか手っ取り早くクニっちに聞いてみたんだけど、クニっちは“引くわ”の一言」

「縢…それは聞いた相手を間違えただろ」

「やっぱり?でもセンセーは“あら、情熱的でいいじゃない、私も弥生の為に上げようかしら”って言ってたよ」

「ギノが聞いたらまた目くじら立てそうな台詞だな」

「さすがコウちゃん、よく分かってんね、正にギノさんも聞いてたけど“くだらん理由でこれ以上余計な仕事を増やすんじゃない”ってガミガミしてたよ」

「フ…警察沙汰になっちまうようなことだからな、冗談だとしてもギノも黙ってはいられなかったんだろう」

「でも俺思ったんだけど、コウちゃん、ヒロインちゃん分かるよね」

「キザな男に心底惚れてるあいつか」

「あはは、そう、そのヒロインちゃん、あの子だったら、彼氏がそんなことしてくれたらスゲー喜びそうじゃねェ?」

「……目に浮かんじまうから何とも言えん…」

「しかもなんと、夕べアオさんがヒロインちゃんに似てる子を見掛けたんだって、浴衣着てていつもの雰囲気とは違ってたらしいけど…でもまじで似てたって」

「廃棄区画で、か」

「他の奴に聞き込み途中だったから声は掛けそびれちまって、結局ヒロインちゃんなのかはわかんねェままらしいんだけど」

「天然の食材を好む女だし、廃棄区画に出入りしている可能性もゼロではないかも知れないが…」

「気になるよね、それ聞いたらギノさんも更にやきもきしちゃってさぁ…口には出さねェけどヒロインちゃんのサイコパスが心配みたい」

「だがいつ会ってもヒロインの色相はクリアなんだろ」

「うん、それにヒロインちゃんなら廃棄区画に出入りしてたとしても平気な気もしてきちゃうんだよね」

「まぁ…その辺りは次に会った時にまたヒロインの色相をチェックすれば済む話だ」

「だね、言えてる」

「で?結局、聞き込みの方はどうなったんだ」

「あーそれがね、どれだけ調べてもその情報だけで、あとは尻尾すら掴めなかったらしいよ」

「未解決、ってことか」

「そういうことになるね、でも理由も理由だし、まじでそんな男がいるのかも怪しくなってくると思わない?」

「……どうだろうな…」

「とりあえず害もなかったし捜査もこれ以上はしねェみたいなんだけど」

「…だが…どれだけ調べても、尻尾すら…か………まるで槙島みたいなやつだな」

「うん?コウちゃん、なんか言った?」

「いや…、何でもない」




打ち上げ花火騒動のホシについて


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