恋するへたれ2



passページで恋するへたれを書きたくて、一話だけ文字にしたもの。
裏です。
続きを書く目処は立ちません。




毎日毎日厭きることなく腰を振る。


最奥まで突きおれの与える快楽に溺れて君の顔が美しく歪むのを楽しむ。



「ン、はぁ…あ、…あ!」

「っ…はぁ…、ヒロインちゃん、目、開けて」


まじでからだの相性までスゲーいい。


外見も完璧に好みで、性格だっておれに愛される為に形成されていると本気で思えるかわいさだ。


それだけでも厭きずに抱けるっつーのに、この相性の良さで。



「おれの顔、ちゃんと、見て、」

「はぁ…ぁ…、ん、」


ヒロインちゃんは迫り来る絶頂に耐えながら閉じていた瞳をゆっくりと開けて。


感じながらも大きな瞳におれを映した。



もちろん言うまでもねぇけど、どの表情のヒロインちゃんもかわいくて好きで好きで仕方ねぇんだが。


見つめられるとやっぱり一番幸せで。


こんなに全てにおいて最高な女はもう二度と出逢えねぇと思う。


きっと今のおれがヒロインちゃん以外の女を抱いたとしても物足りなさしか残らねぇと思っちまうほどに。


まぁ、まず抱く気も起こらねぇがな。



「ヒロインちゃん、クソかわいいよ」

「…ンジくん…!あ…はぁ…も、だめ、イッちゃ、う…!」

「ん、おれの顔見ながらイッて」

「っ…!…あ…サンジくぅん…イク…!あアァ!」

「はぁ……、ヒロインちゃん、…おれも……っク、」


ヒロインちゃんの顔の横では互いの両手を重ね指を絡ませていて。


ヒロインちゃんの綺麗な脚はおれの肩に乗せてある。


そして極めつけは、おれを見ながらの今のイキ顔で。


このシチュエーションにも誘発され、ヒロインちゃんの中で熱を放つ。



「はぁ…はぁ…サンジくん…」

「んー?」


脚は肩から下ろしてやり、重なりあったまま、ヒロインちゃんの首筋に顔を埋め快楽の余韻に浸っていた。


「だいすき、あいしてる、あいらびゅー」

「フ、うん、おれもだよ、ヒロインちゃんクソ愛してる」


肘で上体を支え顔を覗き込めばクソ愛しい笑みで見つめてくれて。


やべーまじでかわいい、好きだ。


そんなヒロインちゃん見てりゃイッたばっかなのにまたでかくなってきやがって。


このままヒロインちゃん見てるだけでももう一回イケるんじゃねーかって勢い。


「…あ、サンジくんの、また大きくなってきてない?」

「クク、わりぃ、ヒロインちゃん、」

「サンジくん、元気だもんね」

「君の全てが好きで好きでどうしようもねぇだけだよ」


そうして噛み付くような激しいキスをして。


今度は四つん這いにさせて腰を振る。


「っん、…はぁ…も、サンジくん、イッたばっか、なのに…ッ…!」

「…いやかい?」


問えば喘ぎ声を漏らしながら後頭部がふるふると横に揺れ。


満たされる。



幸せなんだ、まじで。


毎日どうしようもねぇほどに幸せに満ちている。


だから、願わねぇ日はねェんだ。



…おれの愛し方にも、君がおれをどれだけ愛してくれているのかも。


分かってるし、自信はあるが。



それでも願わねぇ日はねェんだ。


この幸せが壊れねぇようにと。


願わねぇ日は、ねェ。




「しィーまァーが、見えたぞーー!!!」


翌日、昼メシの仕度を始めようとキッチンへ入るとルフィの声が響き渡った。


その声を聞き、島を確認する為に甲板へ出て海の向こうを眺めた。


今はまだ小さく見えるその島は、遠目でも割と栄えているように見えて。


買い物が好きなヒロインちゃんが喜ぶ姿が一瞬にして脳裏に浮かんだ。



そんなヒロインちゃんとはさっきまで部屋で一緒にいたから。


島が見えたことを早速伝える為に再び部屋へと戻った。


そして扉を開けるとすぐさま耳に入ってきた弾む会話。


「そうそう、サンジくん上陸するときはしっかりとスーツが多いからね、この気候なら多分スーツ」

「あーそっか、そうだね」

「あ!サンジくん」


そこにはヒロインちゃんと親友ちゃんの姿があって。


いつもみてぇに楽しそうに話をしていた。


しかもヒロインちゃんはクローゼットの前に立ち、おれのネクタイを両手に一本ずつ持って親友ちゃんに見せていたから。


話題は完璧におれみてぇで。


綻んでいた顔が我ながら更に締まりのねぇものになったことが分かった。


「ヒロインちゃん、親友ちゃん、島が見えたよ」

「うん、ルフィの声聞こえたよー、ね、親友」

「うん」

「そっか」


嬉しそうにおれを視界に収めたヒロインちゃんは、部屋に入ったおれの前まできて。


二本のネクタイを交互におれの首もとに近付けた。


「サンジくん、上陸するからネクタイしてくでしょ?」

「ん、ああ、そうだな、そうする」

「じゃあこっち、今日のシャツにはやっぱりこっちの方が似合う」

「でゅふふふふ〜ヒロインちゅあんのセンス最高だぁぁぁ〜」


今日はシャツにスラックスのみの格好をしていたから。


上陸と聞いてヒロインちゃんはまずおれのネクタイを選んでくれていたらしい。


ヒロインちゃんがネクタイを決めたりコーディネートをしてくれることはよくある。


そして当然おれはそれをそのまま受け入れるんだが。


これは決して女に言いなりなおれだからっつーわけじゃなくて。


ヒロインちゃんが決めてくれたものは本当におれも好きなものだから。


他意はねェんだ。


で、これは逆も然りで。


「ヒロインちゃんも着替えるだろ?じゃあおれの今日の格好に合わせて…あ、あのワンピース」

「あの?あーあれかな、この間の、」

「フ、そう、それ」

「ふふ、なんかもう夫婦だね」

「ほんと?親友、そう見える?超嬉しい!」


ヒロインちゃんに着せる服を考えるおれの首に、ヒロインちゃんは決めたネクタイを掛け結ぼうしてくれていた。


そんな姿を見て、そして会話を聞いて、親友ちゃんが夫婦と言ってくれた。


「まぁもう夫婦みてぇなもんだからな、ねーヒロインちゅわん」

「あは、ねーサンジくん、でもそしたら親友達もだよ」

「ふふふ、そうかな」

「うん、そうだよ、…親友も旦那様の腹巻きでも選んできたら?」

「あはは、じゃあそうしようかな」

「マリモの腹巻きは選び甲斐がねーなァ」


それからくすくすと笑う親友ちゃんは「じゃあまたあとでねー」と言って部屋を出ていった。



そうして二人きりの時間。


ふと訪れる沈黙に。


そのまま流れる時間。


親友ちゃんを見送った扉から視線を戻せば、言葉を発することはねぇが、穏やかな顔をしておれのネクタイを結び始めるヒロインちゃんが目に入って。


今この沈黙すら心地いいと思う。


誰かと一緒にいて言葉のねぇ時間があるのなんて当然のことなんだろうが。


だが、おれにとって女といるのにそれはありえなくて。


時と場合によって考えもするし、決して無理をしたり気を遣ってるわけではねぇが。


それでもレディに退屈な思いはさせねぇように気を付けていた。


でもヒロインちゃんにはそんな想いもなくて。


消えねぇ心地よさの中で、白く華奢な手が繊細に動く様をただ眺めた。


そして左手の薬指に光る存在が更におれを満たしてくれた。


「…はい、できましたわよ、旦那様」

「クク、おれの奥さんそんな喋り方しねーよ」

「奥様を気取ってみたの、新婚さんごっこ」


そう言ってにっこりと笑いおれを見上げるヒロインちゃんに胸は高鳴って。


いつまで経ってもおれは恋を覚えたばかりのガキみてぇだと思う。


冷めもせず落ち着きもしねぇで募るばかりで。



愛しくて優しく腕の中に引き寄せた。


そうすればヒロインちゃんは幸せそうにおれの胸板に頬を擦り寄せてくれた。


「…早く本物の新婚さんになりてぇよ…」

「ん、ふふ、でもきっと今と何も変わらないよ」

「……、フ、ああ、確かにそうだな」


…うん、ヒロインちゃんの言う通りおれもそうだろうとは思うけど。


実際のところ、ヒロインちゃんの純白のドレス姿への夢は日に日に強くなるし。


おれの子供を孕ませてぇという思いだって日々増したりもしている。


志半ばだから、そこにはまだ踏み出せねぇでいるけれど。


それでも、まぁ…焦っても仕方ねぇし、こんな夢が見れることも幸せには違いねぇから。


確約された未来があることがやっぱり幸せで。



「じゃあ行こっか、サンジくん」

「ああ、そうだな、ヒロインちゃん」


それから船を降り、いつも通り手を繋いで街の中心へと向かった。


今だって、ほら。


どうしようもねぇほどの幸せに満ちていると自分で分かる。



だから、この幸せが。


壊れねぇようにと、願わねぇ日はねェんだ。


そう、願わねぇ日はなかった…。


なのに。


この島へ寄ったことでおれの幸せは、まるで悲惨な音が聞こえてきそうなほどに。


畳み掛けるように、崩れていったんだ。


prev | next

contents