ただただ甘いだけ



キッチンの上の甲板。


前に上陸した島で買った野菜の苗を植える為に、スペースを作ってもらった。


上手に作れたらサンジくんの役に立てるかなって言ったら、サンジくんはとてもとても喜んで優しい顔をしてくれた。


それから一緒に植えて、毎日お世話をして。


最近収穫ができるようになった、サンジくん曰くおれとヒロインちゃんの野菜。



鈴なりになるミニトマト。


艶の良いなすやきゅうり。


そして中でも一番たくさん採れるのはいんげん豆。



「あ、ウソップ」

「おう、ヒロイン、来たな」

「うん?ウソップ、私のこと待っててくれたの?」

「おーだってサンジが…」


時間のできた昼食後。


サンジくんの片付けを手伝ってから、一旦部屋に戻り手袋をして、帽子もかぶって。


今日も収穫をしようと向かったらウソップの姿。


しかもどうやら私を待っていたみたいで。


「サンジくんがなんか言ったの?」

「虫が出たら困るからって、サンジくんのお姫様をお守りするお役目をだなぁ、」

「仰せつかったの?」

「うむ、その通りであーる」

「あはは、ごめんウソップ、大丈夫なのに、でもなんでウソップもそんなにのってくれてんの」

「そりゃあおまえ、このおれ様がノリのいい男だからに決まってんだろうが!」


ウソップはなんだか誇らしげな顔をして親指を立て自分を示した。


まあノリがいいのは知ってるけどさ。


「サンジくん、夕飯にサンマでも焼いてくれるって?」

「ぎく…!」

「やっぱり」

「この間買って冷凍にしてあった秋島のサンマ焼いてくれるんだと、つい釣られちまった…」

「焼く、ってだけなのに、サンジくんが焼くとやっぱりおいしいもんねー、ふわふわ」

「おーそうなんだよなー、」


ウソップと話しながら野菜の前にしゃがむ。


「お、いい色だな」

「うん、これもう採っちゃっていいかなぁ?」

「いや、うーん、いいんじゃねェ?」

「ぁ……ふふ、そっか、ウソップだった」

「?、なんだよ」


まず目を引いたのは緑から赤へと色付いた数個のミニトマト。


いつも採り頃はサンジくんに聞いてるから、癖でウソップにも聞いちゃったんだけど。


適当な返事に思わず笑ってしまえば、きょとんとした丸い目と目が合って、また笑う。



「ヒロインちゃん、」

「あ、サンジくん!」

「お待たせ」


そんな時大好きな声で呼ばれて振り向くと、タバコをくわえたサンジくんの姿。


「ウソップ、ありがとな」

「無事に任務は果たしたぜ、約束忘れんなよー」

「おお、任せとけ」


そうして任務完了らしいウソップと交代して、サンジくんが隣に座ってくれた。


無意識に見つめればサンジくんも同じように見つめ返してくれて、頬が緩む。


「ヒロインちゃん、ほっぺちょっと赤いな」

「え、ほんと?今、幸せだからかな」

「フ、まぁ…それもあるんだろうけど、外、暑ィんだろ」


言いながら、サンジくんは私の綻びっぱなしの頬を手のひらでそっと包んだ。


サンジくんの手は、外の暑さに調和されず、ひんやりとしていて心地いい。


「サンジくんの手、きもちー」

「洗い物してたからな」

「ふふ、やっぱ、しあわせ」

「ん、おれも、」


いつも幸せをくれる。



ここから野菜採りつつ、二人の会話と感情論。
たくさんなる野菜みたいにヒロインの気持ちも際限なく増えるけど、いつもサンジくんがおいしくきれいにしてくれるお話の予定でした。


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