赤い糸とジレンマの行く先



ヒロインがクレープを食べている間に、奢ってくれた彼としていた会話。
本当にただの会話文。


「廃棄区画に来んのは初めて?」

「んーん、そんなことないんだけど、」

「あ、そうだったんだ、ここって現金しか使えねェじゃん?だからそれ知らねェで入って来ちまったのかと思った」

「今日は家に忘れて来てしまって…」

「そっかそっか、じゃあこの辺には最近出入りするようになったとか?」

「はい、数ヵ月前から」

「だよな、俺もここの区画来たの数ヵ月振りなんだけど、見掛けねェ顔だったからさ……君みてェにかわいい子がいたら忘れるわけねェし」

「あはは、軽い」

「いや、まじだって、それになんか綺麗だよね」

「ふふ、そんな誉めても何も出ませんよ」

「ハハ、別になんもいらねーよ、なんつーか…きっと色相も綺麗だろ?その綺麗さが滲み出てるっつーか」

「確かに色相は安定してクリアカラーだけど」
 
「やっぱり、じゃあ仕事も普通にシステムに割り振られた職に就いてるんだよな?」

「うん、そうです」

「どおりで…システムに弾かれた人間とは雰囲気が違ェもんな、でもこんなとこに出入りしててよくクリアカラーのまま保ててんね、数ヵ月とは言え濁る可能性もあるだろ」

「うーん…どうなんだろう…、でも体感してみて私はここを悪い所だとは思わなかったし、楽しいし、」

「じゃあ結構頻繁にこの辺には出入りしてる感じ?」

「あ、出入りっていうかね、今暮らしてる家がこの近くにあるの、だから通勤経路って言えばいいのかな」

「え!?ここで暮らしてんの!?で、こっから仕事に行くと」

「うん」

「すげーね、変わってるね、面白れェわ、君」

「ふ、そうなのかな、だけど私今の生活はとても好きだよ」

「ふーん、…でも大丈夫?当然良い悪ィには差はあるだろうけど…こんなとこじゃあさ…住んでるところはすげェ劣悪な環境とかじゃねェ?」

「全然、むしろホロもあまり使ってないのにすごく綺麗で、前に暮らしてた所より居心地もいいの」

「前も廃棄区画に住んでたの?」

「ううん、前はこっちではなかったよ」

「じゃあどうしてこっちに?」

「あー…色々と込み入った事情がありまして…」

「クク、気になるね、それ、俺もっと君のこと知りてェな」


こんな感じで興味を持たれるヒロイン。
連絡先を交換したときに名前も教えあったイメージです。


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