焼きもちをやく槙島さん



リビング。
ちょっと胸の開いた部屋着で本を読みつつごろごろするヒロイン。
槙島さんの膝を枕にしててもいいかもしれない。
槙島さんも自分にくっついて本を読むヒロインを気にすることもなく本を読んでる。

体勢と服のせいでヒロインの下着が覗いてることに気付くグソンさん。

「あ、ヒロインさん、」
「うん?」
「あー…」

でも口にするのは女性に失礼なんじゃないかと、傍に行き襟刳りにそっと触れ直してあげるグソンさん。
それで気付くヒロイン。

「…ぁ、もしかして見えてた?」
「ええ、女の子なんですからもう少し気を付けないと駄目ですよ」
「ふふ、ごめんなさい、でもグソンさんなら問題ないです」
「まぁ…そう言っちまえば俺も問題ないからいいですが…」

グソンさんが自分の下着を見たところで特別な感情を抱くことがないって知ってるから問題ないヒロイン。
で、実際特別な感情を抱くことがないから問題ないグソンさん。あくまでヒロインはダンナのお気に入りだし、妹のような存在。

でも槙島さんからしたら、目の前で起こっていることが理解できない。
行為自体は分かるけど、感情は分からない。
何をいちゃついてるんだこいつらは的な。
下着を隠した触れ合いも相俟って、いつも見られてるから問題ないヒロインといつも見てるから問題ないグソンさん風に見える。

「…知らない間に随分と睦まじい関係になったようだね」
「「え?」」

二人してぽかん。
槙島さん、怖いくらいににっこり笑顔。
ヒロイン、槙島さんと話す為に起き上がる。

「聖護くん?えっと…グソンさんに優しくしてもらってるのはいつものことだけど…」
「ふぅん…そう、いつものこと、ね」
「ダンナ、何か勘違いをして……、って、ダンナ…!」

優しくしてもらってるっていうのは、いつも優しく抱かれてると更に勘違いをする槙島さん。
槙島さん、スッと剃刀を出す。
驚いて咄嗟にヒロインを背中に隠すグソンさん。

「どんな行動を起こすか試しに出してみれば……へぇ…咄嗟に隠す、か…、君の言う通り僕は君達の関係性について勘違いをしていたようだよ」
「また勘違いして……ダンナがそれを手にしたらこうなっちまいますって…!早くそんな物騒な物しまってください」
「君が後ろに隠している女の方がよほど物騒だ」
「なになに、聖護くん、グソンさん」

ちょっと緊迫する二人をよそに、グソンさんの背中で何が起きてるか見えなくなってるヒロインだけがまだほのぼの雰囲気。
収拾がつかないのでこれでおしまい。


「…ダンナ……世間ではそれを焼きもちと呼ぶんですよ」
「チェ・グソン、僕にそんな感情があると思うかい」
「………(ああもう…)」

(結局、無自覚)


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