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「…ここからは『月の寮』の敷地だよね…なんかやっぱり独特の雰囲気…」



月の寮裏口からやってきていた優姫と零はそれぞれ対吸血鬼武器を構えた。



「出迎えか、吸血鬼」



架院に零が血薔薇の銃、藍堂に優姫がアルテミスを向ける。



「そう…一条のヤツに頼まれて仕方なくね」

「危ないし…」

「間の悪ぃことに今夜はーーーー月の寮の裏庭に、夜間部ほぼ全員集まってる」


「……優姫ちゃん足元っ」

「はいっ?……きゃあっ」


「うっ……痛いんだけど」

優姫は名前に注意されたが気付くのが遅く、障害物に足を引っかけてしまい転んでしまった。
優姫は自分が転けた原因の方を向くとそこには自分より少し年上であろう金髪の男が寝ていた。


「逆巻さんちの誰かって聞いたけど……


シュウだったんだ」

「一条の奴が無理矢理、な。

いきなり屋敷に押し掛けたと思ったら車に突っ込まれてここまで来た」


「あの……すみません、どなたですか?」
今まで黙っていた優姫が口をはさんだ。
その疑問に答えたのは名前ではなく零だった。

「優姫………こいつ、ヴァンパイアだ」


「そう。逆巻シュウ。私のお兄さん」

「えっ!名前センパイ兄弟がいらしてたんですか!?」


「あれ……知らなかったっけ?7人兄弟。私以外全員男。

ルキのところは4人兄弟」

「に、にぎやかそうですね……」

初めて聞いた事実に驚く優姫に対してシュウは気だるげに答えた。

「賑やかなんてもんじゃない……うるさいんだけど。それより名前、アンタのところの副寮長どうにかしてやってくれ。
めんどくさい」

「……おつかれ。とりあえずみんながいるところまで行こう。

立って」

「んん……めんどくさい。

おい名前、運べ」

「「え゛っ」」

「………はいはい」

仕方無く、名前はシュウを背負うと一条のパーティー会場の方へ行った
その様子を本人達以外は鳩が豆鉄砲をくらったような目で背負っている光景を見た。
そして二人を守るようにして名前達は裏庭まで行くが、やはり優姫達の登場には夜間部の皆もざわついた。



「…ああ、あいつら来たんだ………?」

「何しに?」

「……」

「やめておけ。お前がやられるぞ」



一人の吸血鬼が隣でナイフを構えた奴に言う。



「厄介なのが脇にいる。藍堂英…そして架院暁、枢様の懐刀たち…」



それに、と後方をついていく名前に目を細める。



「逆巻名前様…」
「名前様の背中におられるのはご長男であられるシュウ様ではないのか?」

「こっちだ。一条"副寮長"、二人を連れて来たぜ」

「あ。いらっしゃい優姫ちゃん、錐生くん、シュウくんもね!」



ぱあ、と花が咲くように笑った一条に優姫はぎょっとなる。



「今夜は僕の誕生日パーティーなんだっ。楽しんでいってよ」



光り輝く一条にその周りだけが別世界だと誰もが思う。



「それで…おいくつになったんですか…」



話の流れで優姫が問いかける。



「………おいくつ…人間の歳で……?ヴァンパイアの歳で…?」

「ヴァ…ヴァンパイア…?」

「十八になりました。僕ももう大人っていうか……あ、プレゼントは優姫ちゃんのチューがいいな」



照れながら言った一条にはい?と脱力。





mokuji
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