■11/01/24
9センチ。(ザキセラ)
どんっ!
「イテッ!」
「あ、スイマセン」
「またかよ赤崎ぃぃ!お前ホントいい加減にしろよ!嫌がらせか!!」
すれ違い様にぶつかってきた赤崎を怒鳴りつける。
別に俺の度量が狭いとかそういうのでは断じてない。
こんなことが一日に何度も、三日連続で起きれば誰だって怒るに決まってる。
ぶつかられるのはまだ序の口。
着替えの最中には腕が当たるし、足は踏まれる。目の前を横切った時に足を引っ掛けられたりもした。ちなみにそのせいで転んだ。
よくもまあピンポイントで俺ばかり。
これは故意だ。紛れも無い嫌がらせだ!
「一体何なんだよ!俺お前に何かしたか!?」
「…チッ……鈍っ」
「おおおま、お前、先輩に向かって舌打ちって…!」
怒りでわなわな震える俺に対峙する赤崎もまた、不機嫌さを隠そうともしない顔で睨みつけてくる。
いやだからお前何でそんな不遜なの!
「…仕方ないじゃないスか。世良さん小さくて視界に入らないんですよ」
「!!!?…あああ赤崎ぃぃぃ!!!!お前っ…言ってはならんことを…っ!!」
ついに堪えかねて赤崎に掴み掛かろうとすると、逆に腕を取られて──気付いたら、赤崎の腕の中だった。
「ぇ…ええぇ!?」
「っさいなー世良さんは!ちょっと位大人しく出来ないんスか!」
乱暴な物言いの癖に、腕の力は優しい。けど力強くて。なんだかよくわからないものに流されそうになる。
「……だから、いつでも俺の目の届くとこに居て下さい」
頬に手を添えられて、上向かせられる。すぐ近くに赤崎の顔があって、思わずギュッと目を瞑った。
…ってこれじゃあ完全受け入れ体勢じゃん!と気付いた俺が内心で焦り出す頃には、もう赤崎の腕から解放されてた。
「……返事は、今度でいいですから」
最後に、耳元でそう囁いて、赤崎は俺に背を向けその場を去った。
…ていうか、今の告白、のつもり?
「……っの、カッコつけがっ!」
もうほんと、意味わかんねえ。
* * * * * * *
好きな子はいじめちゃうタイプのザッキー。
カッコつけ具合が自分で書いててうざかったです(笑)
ちなみにタイトルは2人の身長差から。向き合った時の顔の距離もこの位をイメージ。