間奏T 02
「リタ!」
一目散に駆け寄ったのは、リッカだった。引っつかんできたタオルをリタの頭に被せる。
「久しぶり! ……もう、連絡くらいくれれば良かったのに。もう会えないのかと思っちゃったじゃない」
「そうよ。全く……見送りくらい、させて欲しかったわね」
「うっ……ごめんなさい」
不満げに文句を言うリッカとルイーダだったが、顔は嬉しそうなままで。しゅんと萎れるリタを見ると、それ以上は何も言わなかった。
「まぁいいわ。そのかわりと言っては何だけど、店の呼び込み頑張ってもらうことにしたから」
「呼び込み……ですか?」
「そう。もちろん、この宿屋のね」
「そんな……ルイーダさん、リタに悪いですよ!」
決定事項さながら告げるルイーダ。リッカが抗議すると、ルイーダはあら、と首を傾げた。
「でも、本人はやる気みたいよ?」
ルイーダとリッカがリタに視線を戻す。
前々から宿を手伝いたいと思っていたわけで、リタの顔はやる気に満ちていた。
「うん、リッカやルイーダさんには随分お世話になっちゃったし」
自分に出来ることがあるなら、何でもするつもりだった。
「呼び込みだったら任せて! 私、これから世界を周ることになったから」
さらりと告げられた唐突な言葉に、二人とも目を瞬いた。
「世界?」
「うん……あっ、それでアルに話があるんだけど!!」
あらかた全身を拭き終わると、リタはカウンターにいるアルティナに直行した。
(戻ってきた元天使)02(終)
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思いの外、行き詰まりまして。
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