第九章 25-1
「あ、カレン」
「リタ!」
見慣れた後ろ姿を見かけ、声をかけるとやはりカレンだった。
「授業もう終わったの?」
「早めに終わりましたのよ」
そろそろ授業が終わる頃だろうとは思っていたが、カレンの受ける授業はすでに終わっていたようだ。
カレンは実技で槍を扱う授業を受けていた。初日の授業からサンマロウ洞窟でメタルブラザーズ狩りをさせられた、あの授業である。
「そうですわ、リタ、一緒に体育館へ行きませんこと?」
「体育館?」
「今、剣の実技の授業を行っているはずですわ。……ちょっと見てみたくありません? アルティナが剣のお稽古している姿」
まるで親子参観に行く親のようなことを言うカレンだった。だが、確かに何となく気になる。
「そうだね、時間もあるし……ちょっと覗いてみようか」
ちょっとした好奇心から、リタも行くことにする。
「それに、ちょっと気になることを伺いましたの」
「気になること?」
「ええ、体育館に行けばきっと分かりますわ。さぁ参りましょう!」
二人は一路、体育館へ向かう。
カレンの言葉が少し気になったが、体育館へ行けば分かると言う。
……その意味は、体育館に入ってすぐに判明した。
体育館の中央で、誰かと誰かが手合わせしていた。一瞬呆気に取られた。……片方が、かなり見知った人物であったためだ。
「……えっ、アル?!」
「と、剣の先生……ですわね?」
体育館に入った直後のことである。実戦さながらの勝負が繰り広げられていた。
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